4 / 49
第4話 山小屋
しおりを挟む
山小屋はドアに鍵もかかっておらず、中はガランとしていた。
「えっ、何もない。」とジルがガックリ肩を落としている。
彼は落胆を隠せないようだ。
「でも何もないということは、誰も住んではいないんじゃない?使わせてもらえないかな?」
「女性もいることだし、今晩は泊まらせてもらおう。」
「ジルは火を起こせる?」
「ごめん、僕は本当に役立たずだ。」
「そんなことないよ。火は私が何とかするから力を貸してくれる?」
「うん、もちろん。」
「私が火を作っている間に、食べられそうなものを探してきてくれないかな?」
「わかった。探してみる。」
彼は小屋の中でみつけた金属の細い棒を持ち、出て行った。
ジルは川の方へと歩いていく。
山小屋近くに川があってよかった。
魚が取れたら嬉しいんだけどな。
私は私の仕事をしなきゃ。
ジルの愛馬であるスノーは、山小屋周りの草をモグモグ。
君はいいねぇ、草は美味しいの?
スノーが食べてるのと同じ草を摘んで、口に含んでみる。
ベッベー
うわぁ~にがっ。口の中が苦いよ。
スノー、すごいな。よく食べられるね。
この草を食べるのは最終手段にしたい。
私は地面に落ちて乾燥している枝を拾い集める。それを山小屋のカマドに入れて、バッグからライターを取り出す。
シュボッ
あとは火種を大事に育てて、あっ消えちゃった。
もう一度チャレンジ。
シュボッ
時間はかかったが、だんだん火種が育ってきた。
今度は大丈夫そう。
そう、私はライターを持ち歩いていたのだ。
タバコは吸わない。
このライターは、居なくなった父が家に忘れていたものだ。
母からのプレゼントで、父は大事にしていた。
これを私が持っていたら、いつか父が取りに来てくれるんじゃないかと、肌身離さずにいるのだ。
まさかこんなところで役に立つとは。
ジルが言うキーフォレス王国がどんな国かはわからない。
だが、彼は携帯を知らなかった。
火を起こせるかと聞くと、起こせないとシュンとしていた。
ライターは見せないほうがよさそうだ。
私はそう感じたのだ。
この山小屋も何もなさすぎる。
ここが日本であるならば、もっと何かしらありそうなものだ。
電気とガスがなくても電池があれば、ガス缶があれば助かるのにな。
あっ、でもあっても電池やガス缶で動く道具がないと意味ないか。
この山小屋には、カマドがある他には木製のテーブルとイスがあるだけ。
今が寒い時期じゃなくて助かった。
それでも夜は寒いかもしれない。
火が大きくなったところで、ジルが帰ってきた。
「はい。」と棒にさした魚を差し出された。
「ジル、すごいじゃない。魚が食べられるなんて嬉しい。早速焼くわね。」
「僕なんかより、ツムギのほうがすごいよ。もしかして魔法が使えるのか?」
えっ、魔法?
キーフォレス王国には、魔法が存在するの?
「ううん、魔法は使えない。使えないと思う。もしかしてジルは魔法が使えるの?」
「えっ、何もない。」とジルがガックリ肩を落としている。
彼は落胆を隠せないようだ。
「でも何もないということは、誰も住んではいないんじゃない?使わせてもらえないかな?」
「女性もいることだし、今晩は泊まらせてもらおう。」
「ジルは火を起こせる?」
「ごめん、僕は本当に役立たずだ。」
「そんなことないよ。火は私が何とかするから力を貸してくれる?」
「うん、もちろん。」
「私が火を作っている間に、食べられそうなものを探してきてくれないかな?」
「わかった。探してみる。」
彼は小屋の中でみつけた金属の細い棒を持ち、出て行った。
ジルは川の方へと歩いていく。
山小屋近くに川があってよかった。
魚が取れたら嬉しいんだけどな。
私は私の仕事をしなきゃ。
ジルの愛馬であるスノーは、山小屋周りの草をモグモグ。
君はいいねぇ、草は美味しいの?
スノーが食べてるのと同じ草を摘んで、口に含んでみる。
ベッベー
うわぁ~にがっ。口の中が苦いよ。
スノー、すごいな。よく食べられるね。
この草を食べるのは最終手段にしたい。
私は地面に落ちて乾燥している枝を拾い集める。それを山小屋のカマドに入れて、バッグからライターを取り出す。
シュボッ
あとは火種を大事に育てて、あっ消えちゃった。
もう一度チャレンジ。
シュボッ
時間はかかったが、だんだん火種が育ってきた。
今度は大丈夫そう。
そう、私はライターを持ち歩いていたのだ。
タバコは吸わない。
このライターは、居なくなった父が家に忘れていたものだ。
母からのプレゼントで、父は大事にしていた。
これを私が持っていたら、いつか父が取りに来てくれるんじゃないかと、肌身離さずにいるのだ。
まさかこんなところで役に立つとは。
ジルが言うキーフォレス王国がどんな国かはわからない。
だが、彼は携帯を知らなかった。
火を起こせるかと聞くと、起こせないとシュンとしていた。
ライターは見せないほうがよさそうだ。
私はそう感じたのだ。
この山小屋も何もなさすぎる。
ここが日本であるならば、もっと何かしらありそうなものだ。
電気とガスがなくても電池があれば、ガス缶があれば助かるのにな。
あっ、でもあっても電池やガス缶で動く道具がないと意味ないか。
この山小屋には、カマドがある他には木製のテーブルとイスがあるだけ。
今が寒い時期じゃなくて助かった。
それでも夜は寒いかもしれない。
火が大きくなったところで、ジルが帰ってきた。
「はい。」と棒にさした魚を差し出された。
「ジル、すごいじゃない。魚が食べられるなんて嬉しい。早速焼くわね。」
「僕なんかより、ツムギのほうがすごいよ。もしかして魔法が使えるのか?」
えっ、魔法?
キーフォレス王国には、魔法が存在するの?
「ううん、魔法は使えない。使えないと思う。もしかしてジルは魔法が使えるの?」
0
お気に入りに追加
28
あなたにおすすめの小説

好きでした、さようなら
豆狸
恋愛
「……すまない」
初夜の床で、彼は言いました。
「君ではない。私が欲しかった辺境伯令嬢のアンリエット殿は君ではなかったんだ」
悲しげに俯く姿を見て、私の心は二度目の死を迎えたのです。
なろう様でも公開中です。
【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。
私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。
「でも、白い結婚だったのよね……」
奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。
全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。
一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。
断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。
挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】
今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。
「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」
そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。
そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。
けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。
その真意を知った時、私は―。
※暫く鬱展開が続きます
※他サイトでも投稿中
【完結】365日後の花言葉
Ringo
恋愛
許せなかった。
幼い頃からの婚約者でもあり、誰よりも大好きで愛していたあなただからこそ。
あなたの裏切りを知った翌朝、私の元に届いたのはゼラニウムの花束。
“ごめんなさい”
言い訳もせず、拒絶し続ける私の元に通い続けるあなたの愛情を、私はもう一度信じてもいいの?
※勢いよく本編完結しまして、番外編ではイチャイチャするふたりのその後をお届けします。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

病弱な幼馴染と婚約者の目の前で私は攫われました。
鍋
恋愛
フィオナ・ローレラは、ローレラ伯爵家の長女。
キリアン・ライアット侯爵令息と婚約中。
けれど、夜会ではいつもキリアンは美しく儚げな女性をエスコートし、仲睦まじくダンスを踊っている。キリアンがエスコートしている女性の名はセレニティー・トマンティノ伯爵令嬢。
セレニティーとキリアンとフィオナは幼馴染。
キリアンはセレニティーが好きだったが、セレニティーは病弱で婚約出来ず、キリアンの両親は健康なフィオナを婚約者に選んだ。
『ごめん。セレニティーの身体が心配だから……。』
キリアンはそう言って、夜会ではいつもセレニティーをエスコートしていた。
そんなある日、フィオナはキリアンとセレニティーが濃厚な口づけを交わしているのを目撃してしまう。
※ゆるふわ設定
※ご都合主義
※一話の長さがバラバラになりがち。
※お人好しヒロインと俺様ヒーローです。
※感想欄ネタバレ配慮ないのでお気をつけくださいませ。

夫が寵姫に夢中ですので、私は離宮で気ままに暮らします
希猫 ゆうみ
恋愛
王妃フランチェスカは見切りをつけた。
国王である夫ゴドウィンは踊り子上がりの寵姫マルベルに夢中で、先に男児を産ませて寵姫の子を王太子にするとまで嘯いている。
隣国王女であったフランチェスカの莫大な持参金と、結婚による同盟が国を支えてるというのに、恩知らずも甚だしい。
「勝手にやってください。私は離宮で気ままに暮らしますので」

愛のゆくえ【完結】
春の小径
恋愛
私、あなたが好きでした
ですが、告白した私にあなたは言いました
「妹にしか思えない」
私は幼馴染みと婚約しました
それなのに、あなたはなぜ今になって私にプロポーズするのですか?
☆12時30分より1時間更新
(6月1日0時30分 完結)
こう言う話はサクッと完結してから読みたいですよね?
……違う?
とりあえず13日後ではなく13時間で完結させてみました。
他社でも公開
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる