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第1話 神頼み
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私は、マリアンヌ・デンセン 16歳。
デンセン侯爵家の娘である。
私には、幼い頃から好きな男性がいる。
彼は、ルルド王国 第二王子のアルフォンス 17歳。
キラキラと光輝く銀髪に琥珀色の瞳を持つ彼。
彼は、私の幼なじみである。
先日、王家主催の舞踏会で、王妃ソフィアが宣言した。
「我が息子アルフォンスの婚約者は、刺繍大会で決定します。」
王妃ソフィアは楽しいことが大好き。
まさか息子の婚約者選びをイベントにするなんて…
マリアンヌは焦った。
なんですって!
アルの婚約者は私で決まりと思ってたのに。
しかも私は、不器用で刺繍が苦手。
刺繍だけはどうしてもダメだった。
そのうち、王子妃となる私に刺繍の腕は必要ないと、レッスンをサボるようになったのだ。
まずい、まずいわ、どうしましょう。
これはもう神頼みしかないわ。
早速 馬車を手配する。
身元がバレないように、町を散策する時に着ている裕福な商家の娘風の衣装へ着替えた。
怖い思いはしたくないので、いつも連れている護衛のルイも変装させて連れていく。
さぁ、出発だ!
神殿につくと、すぐに神頼みを開始する。
「神様、どうかお願いします。私をアルのお嫁さんにして下さい。刺繍大会で選ばれますように。」
マリアンヌが、一生懸命祈っていると、優しい微笑みを浮かべた美しい方が姿を現した。
サラサラとした白髪に黄金の瞳。
衣装は神官のような白い衣装。
この世のものとは思えないほど、整った美貌。
マリアンヌは思った。
この方は神様だわ。
私が懸命に祈っていたから、きっと願いを叶えに来てくださったのだわ。
「神様、来てくださってありがとうございます。是非とも私の願いを叶えてください。」
神様は、「わかった。そなたの願いを叶えよう。但し毎日最低1時間は、刺繍を刺すこと。その約束は必ず守るように。」
私は、神様が姿を現し、願いを叶えると約束してくれたことに歓喜していた。
「神様、ありがとうございます。」と晴々とした気持ちで、家路についた。
護衛についていたルイは思った。
それって、神頼みではなく、「普通に努力しろ。」と言われただけなんじゃないかと。
それから私は、毎週決まって水の日の午後、神殿を訪れるようになった。
初めて神様と出会った時間に、出会った場所へ。
「神様、ちゃんと約束を守っていますから、神様も約束を守ってくださいね。」と、念押しするために。
そんな私に神様は、優しく微笑み、「あなたはすごい。よく頑張っていますね。」と誉めてくれた。
侯爵令嬢として生まれた私。
何でもできて当たり前。
そんなわけないじゃない。
私は、いつも見えないところで努力してきた。
但し、刺繍だけはどうしても苦手で、苦痛で、サボっていたのだ。
唯一、刺繍だけは。
神様は私の頑張りを誉めてくれた。
認めてくれた。
本当に嬉しかった。
デンセン侯爵家の娘である。
私には、幼い頃から好きな男性がいる。
彼は、ルルド王国 第二王子のアルフォンス 17歳。
キラキラと光輝く銀髪に琥珀色の瞳を持つ彼。
彼は、私の幼なじみである。
先日、王家主催の舞踏会で、王妃ソフィアが宣言した。
「我が息子アルフォンスの婚約者は、刺繍大会で決定します。」
王妃ソフィアは楽しいことが大好き。
まさか息子の婚約者選びをイベントにするなんて…
マリアンヌは焦った。
なんですって!
アルの婚約者は私で決まりと思ってたのに。
しかも私は、不器用で刺繍が苦手。
刺繍だけはどうしてもダメだった。
そのうち、王子妃となる私に刺繍の腕は必要ないと、レッスンをサボるようになったのだ。
まずい、まずいわ、どうしましょう。
これはもう神頼みしかないわ。
早速 馬車を手配する。
身元がバレないように、町を散策する時に着ている裕福な商家の娘風の衣装へ着替えた。
怖い思いはしたくないので、いつも連れている護衛のルイも変装させて連れていく。
さぁ、出発だ!
神殿につくと、すぐに神頼みを開始する。
「神様、どうかお願いします。私をアルのお嫁さんにして下さい。刺繍大会で選ばれますように。」
マリアンヌが、一生懸命祈っていると、優しい微笑みを浮かべた美しい方が姿を現した。
サラサラとした白髪に黄金の瞳。
衣装は神官のような白い衣装。
この世のものとは思えないほど、整った美貌。
マリアンヌは思った。
この方は神様だわ。
私が懸命に祈っていたから、きっと願いを叶えに来てくださったのだわ。
「神様、来てくださってありがとうございます。是非とも私の願いを叶えてください。」
神様は、「わかった。そなたの願いを叶えよう。但し毎日最低1時間は、刺繍を刺すこと。その約束は必ず守るように。」
私は、神様が姿を現し、願いを叶えると約束してくれたことに歓喜していた。
「神様、ありがとうございます。」と晴々とした気持ちで、家路についた。
護衛についていたルイは思った。
それって、神頼みではなく、「普通に努力しろ。」と言われただけなんじゃないかと。
それから私は、毎週決まって水の日の午後、神殿を訪れるようになった。
初めて神様と出会った時間に、出会った場所へ。
「神様、ちゃんと約束を守っていますから、神様も約束を守ってくださいね。」と、念押しするために。
そんな私に神様は、優しく微笑み、「あなたはすごい。よく頑張っていますね。」と誉めてくれた。
侯爵令嬢として生まれた私。
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そんなわけないじゃない。
私は、いつも見えないところで努力してきた。
但し、刺繍だけはどうしても苦手で、苦痛で、サボっていたのだ。
唯一、刺繍だけは。
神様は私の頑張りを誉めてくれた。
認めてくれた。
本当に嬉しかった。
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