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第31話 公園デート

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夜の公園。
ベンチの辺りは、街灯の灯りが差し込み、ほんのりと明るい。
自販機で、颯真さんはコーヒー、私はカフェオレを買う。
どちらも温かい。

2人、ベンチに並んで座る。
ベンチ以外は何もない公園。
また自然と手を繋ぐ。
颯真さんの手、大きくてガッチリしていて温かい手。
あー、幸せ。颯真さん大好き。

私の心はポカポカと温かい。
まるで高校生のデートみたい。
私の家に行けば、もっと一緒に居られる。
でも、まだ私には、そこまでの勇気はない。

颯真さんは何も言わない。
たまに飲み物を飲む音がするだけ。
静かな時間が過ぎていく。

颯真さん、大好き。
気持ちを伝えるように、繋いだ手に、ギュッと力を入れる。
颯真さんも握り返してくれる。

そのうち、颯真さんの手が離れていき、その手の行方を目で追うと、私の頬に伸びてきて…唇が重なった。
触れるだけの優しいキス。

ごめん、かわいすぎて我慢できなかった。
先走っちゃったなぁ。
「雅ちゃん、付き合ってください。」
欲しかった言葉をもらえた。

「はい。嬉しい。」
頭がほわほわする。
「明日9時に迎えに行きますね。」と公園で別れ、自宅に帰ってきた。
ただただ幸せだった。

明日はどこへ行こう。
その夜、私は眠れない夜を過ごした。

朝、ベッドから起きて、鏡をみる。
うわぁ~、すごい顔。
寝不足で腫れたまぶたを蒸しタオルで温める。
入念に化粧を施し、目元の隈を隠す。

颯真さんを迎えに行き、電車で移動。
船に乗る。
隣の席に座ったが、びったりと寄り添い、肩やら何やらに、颯真さんの熱が伝わる。
付き合うようになり、距離感が変わった。

今日は快晴。
顔に当たる風が気持ちいい。

それからホテルのランチへ向かう。
高台にあるレストラン。 
眼下に広がる町並みや景色を眺めながら、ランチを楽しむ。

「雅ちゃんなら、いつでも大歓迎。遊びにおいで。」と颯真さんに自宅の住所を教えてもらった。
私も住所を伝える。

そろそろ空港へ移動する時間。
颯真さんと過ごす時間はもうすぐ終わる。
寂しくなっていると、下がり眉になっていたみたい。
「困り顔になってるよ。」と、颯真さんに頭をポンポンされる。

電車に乗り、空港へと移動する。
颯真さんが受付する間に、売店で小箱のお土産菓子を何点か購入。
1つの袋に入れて、颯真さんに渡す。
小箱なら、いろいろなお菓子を楽しんでもらえるんじゃないかな。

「雅ちゃん、ちょっと。」と人気のない柱の陰へ連れて行かれる。
どちらともなく、自然と顔が近づき、私たちは別れを惜しんだ。

泣いてしまいそうになりながらも、何とか我慢。
「次は私が会いに行くね。」
頑張って笑顔を浮かべる。

颯真さんの乗った飛行機は飛び立っていった。














    
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