【完結】運命の人に出逢うまで

青井 海

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第11話 カナダへ

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働きだして5年。
お金が貯まってきたので、親孝行を考えるようになった。

友達との海外旅行で、魅力に取りつかれた私は、母を旅行へ誘う。
行き先は、私が行ったことのない国ならどこでもいいと、希望を聞く。
母から「カナダへ行きたい。」と返事が。

カナダかぁ~、遠いな。
でも私も行ってみたい。
行ってみよう!
旅行代理店のパンフレットを元に、プランを検討する。

★旅慣れない母でも無理のないスケジュール
★ある程度 グレードの高いホテル
★仕事に差し障りのなく、休みが取れる日程
★私が負担できる旅行代金
という条件で、プランを絞り、申し込む。

思いきってカナダへ来て良かった。
カナダの景色は本当に雄大、心洗われる。
街の小さな店先では、大きな大きな鹿 エルグの姿。
少し近づいても全く動かない。
置物かと安心していると、ダダっと音を立て、走り去って行った。

本物だった!!
びっくりである。
私の2メートルくらい先に居たんだよ。
動き出した迫力に、もーうびっくり。
心臓が止まるかと思った。
慌てて、母に声をかけたが、母は見逃したらしい。
う~ん、残念。

ナイアガラの滝では、水しぶきが降ってきて、まるで霧雨のよう。
水しぶきを避けるように、土産物店へ入る。

ぷらぷら見ていると、知らないおばさまに声をかけられる。
「日本人の方? 私は英語話せなくて。現地に住んでる学生さんかな?買い物したいんだけど、訳してくれない?」
えっ、27歳で、学生と間違えられた。ちょっと嬉しい。

ツアーのフリータイムで、添乗員さんと別れての買い物で困っていたらしい。
私も英語は話せないけど、相手は日本人観光客に慣れた土産物店の店員さん。
恥ずかしがらずに、身振り手振りを交えつつ、英語の単語を並べれば、何となーく通じるもので…

おばさまは、「助かったわ。ありがとう。」とお礼を言って、笑顔で帰って行った。
お役に立てて何よりです。

ホテルでの夕食、同じツアーに参加している母と同世代のご夫婦と同席になる。
おばさまに「カナダに住んでいる娘さんに会いにいらしたの?頼りになる娘さんがいて羨ましいわ。」と母が言われている。
土産物店でのやりとりを聞かれてたんだね。

母が、「いえいえ、娘は日本にいます。今回は旅行をプレゼントしてくれたんですよ。」と訂正。
「まぁ親孝行な娘さんが居て幸せですね。」

このおばさまと母は気があったようで、仲良くなり、ツアー最終日に連絡先が書かれたメモを渡される。 
おばさまには、30歳独身で公務員の息子さんがいるらしく、「関西へ来ることがあれば、是非我が家へ遊びにいらして。」と言ってくれた。

お言葉に甘えて遊びに行く勇気はなく、手紙のやりとりだけ続いている。



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