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第3章 お友達編

【幕間】朝

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さて突然ですが皆様に問題です。
寝ている兄様の破壊力を数字にするといくらでしょう。










答え、無量大数。



















僕は北の邸宅から帰ってきても兄様と同じベッドで眠っている。

それによって睡眠の質が一気に上昇した僕は早く眠りについた事もあり、目が覚めるのも早かった。
なんかやけに布団が温かいな?と思ったら僕の体には兄様の美しい筋肉のついた腕が巻き付いており、見上げれば彫刻に見紛うほど美しいお顔が。

「.................。」

僕は絶句した。
あれ?ここって薔薇園だったっけ?だって兄様のバックに大輪の薔薇が咲き誇ってる。

いつもはキリッとかっこいい表情が多い兄様も、目を閉じて眠っていると幼子のようにあどけない。なのにその造形美のせいで圧倒的な破壊力を持っている。つまり少しエロスを感じる。

『...アステル、起きた?』
「あ、ユーリ。おはよう。」
『おはよ~。夢を見ないくらいぐっすりだったね。』
「うん。ユーリがふかふかで、にいさまもいるから。」
『ふふん。僕の毛並みで眠れるなんて、とっても貴重だよ?』
「ふふっ、そうだね。ありがとう。」

ふんふん、と鼻を鳴らして得意げなユーリの頭を撫でると嬉しかったのかブンブン尻尾を振るユーリ。その尻尾の動きで兄様も目を覚ましたようで掠れた声で「アステル?」と聞こえてくる。

「にいさま、おはようございます。」
「...あぁ、おはよう。」

寝起きで少し反応の鈍い兄様は緩慢な動きで僕の額にちゅ、とキスをした。腰に回っていた腕の締め付けも強まる。
掠れ声は艶やかで、薄く開いた瞳と口はとってもセクシーだから、ちょっとドキドキしてしまう。

「...早いな。眠れなかったか?」
「にいさまとユーリのおかげでぐっすりでした!」
「そうか、でもまだ早いから寝ていろ。俺が起こす。」
「はぁい。」

兄様にそう言われると、なんだか再び眠気が襲ってくる。近くなった距離のまま、兄様の胸元にぴっとりと張り付いて鼓動を聞いていると、僕はまた心地よい眠りに落ちていった。

ああ、僕はもうこれ無しじゃ眠れなくなってしまうかも。

















ふんわりと香る花の匂いに誘われて僕は再び目を覚ます。
背中に慣れ親しんだ温度を感じ擦り寄るが...あれ、僕はさっきまでベッドにいた筈なんだけどなぜか今は座っている。もう起きる時間なのかな...?と思って目を開けると、頭上に兄様の顔があった。どうやら僕は座った兄様の膝に抱き抱えられるようにして寝ていたらしい。
既にパッチリと目を開けている兄様は、いつものように愛しそうに僕を見下ろしている。
あと何故か手が揉まれている。

「んぅ...?」
「アステル、おはよう。」
「ぉはよ、ございます...?」
「ああ。もうすぐ朝食だからな。」
「ぁい...。」

じゃあ顔を洗ったりしなきゃな...と考えていると、目の前にユーリが居た。

「ユーリも、おはよぅ。」

寝起きで乾燥し、張り付く喉をなんとか動かしてユーリにも挨拶をする。

『おはようアステル。身支度はもう済んでるよ。』
「...んぇ...?」
『アステルが寝ている間にご主人様が全部やっちゃったんだ。今は、最近乾燥がひどいからって手にクリームを塗っている所だよ。ご主人様、アステルは喉が渇いてるみたい。』
「ほら、アステル。水だ。」

何が何だかわからないうちに、急に目の前に差し出されたストローに取り敢えず吸い付いて喉を潤す。常温より少し温かい水が喉を通っていくのと同時に目も頭も冴えてきた。

「...ほんとうだ、きがえもおわってる...。」

常日頃から僕の寝起きからずっとそばにいる兄様に着替えを手伝ってもらっていた(というか魔法で全部やってもらっていた)から、そう大きな変化ではないのだが、寝ている間に全てが終わっているのは初めてだ。
それに髪の毛も整っているし、ハンドクリームはいい匂いだし。
ユーリが僕の思考を読んで、目に見えない部分のお世話までされるし。

まさか、この先もずっとこんな至れり尽くせりなのか...?

「うぅ...このままじゃぼく、なにもできなくなっちゃいます...。」
「それでいいんだ。」

ひぃ。兄様は僕を廃人にする気なんだ。
兄様がいなきゃ生きていけなくなっちゃったらどうしよう。

『というかご主人様はそこを目指してるんだよ。』

淡々としたユーリの言葉に僕はさらに背筋を凍らせた。


...明日からは兄様より早く起きよう。
















___________________________
抱っこ禁止令の反動が...









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