シタら終わるし、シタから取り戻す

恋愛は結婚後から

3

　リビングのマットの上で、茶道のお作法みたいに、向かい合って座る私達は一体これから何をしようとしているのか、自分達でも分からない。

「お、お願いします」
「お願いしますって。何だよ……」

　処女と童貞で上手くいかなそうだけど……。

　好き同士だし、結婚してるし、一度予習してるし……なんとかなると思う。

　性行為がなければ離婚なんて、バカな法案が傲慢な親たちの答弁で通ってしまったら厄介だし……。
　この辺でチャレンジしてみようかな？
　願わくば、ゲームみたいな不倫シナリオはないといいけどね。


　抱き合ったら、セイの心臓の音と自分の心臓の音が呼応していた。思ったよりもドキドキして……困ってしまう。

　セイもまた完全に困ったようにして、こちらを見ていた。未経験に戻ったから仕方ないよね。経験も私のためだと言ってくれたし……結婚条件を整えるために頑張ってくれたのだと思うと、愛おしい。

　でも、
「まずいもう……無理」
　とすぐに音を上げて身体を離してしまうセイには私も困ってしまう。

　ほんの少しだけ積極的になるだけなら、拒否されないかな？
　予習をしすぎて動けなくなる前に、私はセイを抱きしめた。


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　おしまい