シタら終わるし、シタから取り戻す

彼らの誘惑

2

「お前達が行為を避ければ避けるほど、オレ達にとって不利になる」

「チセちゃんはライくんとやろう？」

「オレ達はフィジカルの世界に行きたいんだ。そのために、どれだけ君たちとデジタル上で繋がれるかが重要なんだよ」
　トアとイトが去っていき、私と夫が残された。

　何が行われるのかは、分かっている。さすがに未経験の私も、攻略キャラクターの精査やアダルト部門での経験で、雰囲気を感じることは慣れていていた。

「お前のことは好きでもなんでもないが……目的のためだ」

　好きでもなんでもない。
　セイに似た顔の彼に言われてしまうと、心が削れる。服を脱がされて、下着を外された。強引な感じはないしどちらかと言えば丁寧だったけれど、誰にもされたことのないことを、セイに似たゲーム内の夫にされる。

　好きでもなんでもない相手とする？セイが経験をつんだといっていた。同じようなことを、私もされるんだ。

　指がグネグネと入り込む。長い指が分け入ろうとすれば、身体が反射的に痙攣した。声は出ないけれど、細かく息が漏れる。
　好きじゃなくても、出来るんだ……。目元から何かが流れていく感覚があった。

「なんで泣くんだよ」
「……セイ。ごめん」
　と言って自分の両手で目を覆う。

　救済措置が取れるかどうか、分からない。ここで失敗したら、どうなるんだろう？
　しっかりと、経験に刻まれるのかな？