シタら終わるし、シタから取り戻す

KUMANOMORI(くまのもり)

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 セイは唇をきゅっと締めて、眉を少し寄せてこちらを真っ直ぐに見つめてくる。見たこともないくらいに真面目な表情だ。

「リセの初めてをもらいたいってずっと思ってた。だったらさ、すっげぇ気持ちよくしたいじゃん」
「え?」

「初めて同士じゃ、わけわかんなくて……気持ちよくさせらんないだろ。いつもリセならどんな顔すんのか、リセならどんな声出すのか想像する」
「え……何言ってるの?」

「そういう経験って、遊んでるって思われんのは分かってるけど。やっぱり最初って大事だと思うし。リセよりオレの方が器用じゃん?本気と経験を切り分けて、ちゃんと経験値つんできたつもり」
「器用とか、そういう問題じゃないよ……」

「でも。リセの顔に似てる相手が、ガンガン迫ってきて、妊活しよって言われたら……我慢するのマジでつらいって」
「……」

「ずっと我慢してんのに、最後に来て強敵出てきちゃってさ……。どうすりゃいい?」「が、我慢……?」
「そ。好きな子に似てる子に迫られたら……我慢するの、さすがのオレでもきつい。本人だったら、まあ……さらにキツいけどな」

 好きな子?と声を出したら、リセ、とつけ加えてくる。

「……」
「引くなよ」

「引いたんじゃない、けど。好きって言うの、ほんと?」

 ここで勘違いしたら、本当にバカみたいになる。セイはこっちを真っ直ぐ見つめて、ほんとだよ、と言った。



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