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辛さの中身
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しおりを挟むセイはなんでもそつなくこなす。学生の頃から勉強も運動もできるし、女の子にもモテていた。セイは普段生意気でイジワルだけど、昔から私の好みを知ってくれて、誕生日プレゼントだけは毎年交換する。
小学校はともかく、中高と進む中でなるべく距離を置こうとしていた。明らかに住む世界が違うキャラクターだな、と思い始めたからだ。
ヒエラルキーって言葉は嫌いだけれど、明らかにトップクラスにいるイケてる男子になってしまったセイを、手放しに好きだとは言えなくなる。
幼なじみであるとか、昔から知っているとかは、何の特権でもなくて、私はセイに憧れる他の女の子と同じだなと思ったからだ。
「リセ」
と学内で声をかけられたら、気づかないふりをすることにしていた。好きな相手を聞かれたら話したことのある男子をあげることにしていたし、セイのことが好きだと言う女の子からは距離を置くことにする。
昔は仲がよかったけれど、今はそれなりに距離のある幼なじみを演出して、フェードアウトする準備をしていた。
仲の良い男の子ができたら、恋人になる想像をしはじめて、セイのことを考える機会を減らす。
好きな奴いるの?とセイに言われたら、セイの次に好きな人を言う。
でも、「へぇ。でもそいつはリセに合わねぇよ、オレよりリセのこと知ってるやつなんかいないって」とは一言差し込まれたら、おしまいだ。
セイと一緒にいる未来を示唆されたように感じて、思考停止する。その間に、セイは色んな女の子と付き合って、別れてを繰り返しているのだけれど。
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