シタら終わるし、シタから取り戻す

リアルへの波及

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　未来への想像は意外に当たったみたいだ。
　これまでもセイはアダルトゲームの精査をしていたはずなのに、今回はとても辛そうにして帰ってくる。

「しんど……。はぁぁぁ……っ」
　とため息をついて帰って来た。

　ちょうどセントラルホールに戻る時間が私同じだと、気まずそうに目をそらすのだ。頭をかきながら、さっさとセントラルホールから去って行く。
　セイの辛さは私とは違うのかもしれないけれど、私もかなり辛い。

　私の査定をしているゲームでは、夫の不倫相手が主人公の妹で、主人公は夫の兄と不倫している。
　その中で、宅配業者や同僚や、大学時代の後輩や、元彼や……といくつもの同時進行に誘いがあった。

　そもそも誰かと付き合ったこともないし、ましてや浮気もしたことのない私が、不倫設定の場に放り込まれたら、完全に心を冷凍するしかない。

　ガチガチに固まってしまう私に、どの攻略対象も、
「それで精査出来るんですか？」
　とダメ出しをしてくるのだ。

　もっともだと思う。手を握られただけで、ぴきっと身体が硬直する。
　一緒に残っていた同僚が、ね、今日はどうかな？と言って、オフィスで抱きしめてきたら、身体が震えてきた。足から崩れ落ちる私を見て、
「転職したら、どう？」
　と攻略キャラクターである同僚からリアルとゲーム内の両面でイヤミを言われる。

　宅配業者からは、
「旦那さんいない時間に行ってもいいですか？」
　と言われて、ダメですと答えたら、

「イベント回避していたら、チェック出来ないでしょ」
　とダメ出しを食らう。強引に、玄関の壁に押しつけられたら、口の端から泡が出てくる。

「カニは趣味じゃないっすねぇ」
　と苦笑いして、去って行った。

　――――こんなに仕事が出来ないとは思わなかった！