86 / 228
生きてない気がする女の子の話
3
しおりを挟む
「生きてないような、気がするの」
「生きてない?」
「わたしは、なんなんだろう。わたしは、誰なんだろ?……」
私はそのとき、急に、手に持っていた手提げや、彼女のほつれ髪が気になり、車のタイヤが地面にこすれる音が耳にさわりました。
物理的な意味での現実ってものが、どっとわたしの身にふりかかってきて、あ、これが現実だって思ったんです。ただ、彼女の言う言葉だけが非現実的でした。
自分が何だか分からないなんて、そんなことを言うのは、理解できなかったんです。
「あなたは、あなただよ」
私はそういって、線を引いたんです。
その子は、目を細め、灰色の声で言いました。「ありがと」って。
その後、その話をすることは、ありませんでした。
今日、夕焼けを見ていたら、その子のことを思い出したんです。
その子が今どうしているのか、私は気になります。
あの日、その子の心に一番近かったのは、私のはずなのに、線を引いて離れてしまったその子のことが心配なんですよ。
そうしめくくり、ルイしゃんの話は終わった。
「生きてない?」
「わたしは、なんなんだろう。わたしは、誰なんだろ?……」
私はそのとき、急に、手に持っていた手提げや、彼女のほつれ髪が気になり、車のタイヤが地面にこすれる音が耳にさわりました。
物理的な意味での現実ってものが、どっとわたしの身にふりかかってきて、あ、これが現実だって思ったんです。ただ、彼女の言う言葉だけが非現実的でした。
自分が何だか分からないなんて、そんなことを言うのは、理解できなかったんです。
「あなたは、あなただよ」
私はそういって、線を引いたんです。
その子は、目を細め、灰色の声で言いました。「ありがと」って。
その後、その話をすることは、ありませんでした。
今日、夕焼けを見ていたら、その子のことを思い出したんです。
その子が今どうしているのか、私は気になります。
あの日、その子の心に一番近かったのは、私のはずなのに、線を引いて離れてしまったその子のことが心配なんですよ。
そうしめくくり、ルイしゃんの話は終わった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
4
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる