♡バカップルでごめん♡

血筋レベルでバカップル

　二人はその日、それぞれの実家に連絡し、結婚する相手がいるので紹介します、と告げる。
　春黎家、秋彌家ご参集ください。と告げた。
　冬茜あやせが死んでしまった今、一生環の外出禁止令は解けないのだ。風紀委員の言葉には強制力がある。

　食堂に集まってくれた私たちのご両親は、それぞれ目を丸くしていた。
「まさか、秋彌家のご子息とは」
　と言う環の両親と、
「まさか、春黎家のご令嬢とは」
　と言う輝夜の両親。

　しかし犬猿の仲には見えない、なぜか熱っぽい視線で見つめ合っているのだ。それは、春黎雅と秋彌眩夜、春黎笑と秋彌煌（きらり）のそれぞれ同性同士で結ばれた視線だった。そこに色香が香ったのを環も輝夜も目撃する。

「久しぶりだな、雅。相変わらず、鼻持ちならないつんけんとした美貌だ」
「ああ、眩夜。お前こそ、人が避けて通るほどの圧倒的な覇王の風格だ」

「久しぶりね、笑。魅惑的な身体つきは相変わらず。安っぽい男を篭絡するにはちょうどいいかんじね？」
「ええ、煌。あなたこそ、その千里眼と思しき目力ならば、気弱な男性なら一瞬で奈落に落としてしまいそうね？」

　貶し合っているように見えるが、もはや恋人同士と言っても間違いないようなとろんとろんのとろけた眼差しで、互いを見ている。

　ここで、環と輝夜は悟った。もはや、これは血筋レベルの好みなのだと。

「私たち結婚しますっ。輝夜が死んでしまう前にっ！」
「今日にも婚姻届けを提出するつもりだ」
　と両親に言い、保証人になってもらうことにした。

「誰が秋彌家に大事な娘をやるものかっ」
「春黎家に大切な息子とやるものかっ」
　と言っているが父親陣はいそいそと記入していく。

　両親に提出してもらい、二人はその日結婚した。