♡バカップルでごめん♡

余命が百年削られた

　死んでもいいくらいなのに。

　そんな風に思った矢先に、環は輝夜から余命宣告を聞くことになる。

　冬茜あやせの姿をとれなくなった輝夜はミミックとの契約を切ったらしい。一年契約のため、モンスターとの契約の途中解除には違約金ならぬ、違約命がいる。輝夜は代償として寿命を払ったようだ。

「ミミックが言うには、余命は一ヶ月だそうだ」
　その後、月末の逢瀬にて肩をすくめながら告げてきた輝夜に環は驚いてしまう。死者に変身すると削られる寿命が多いらしい。

　百年削られた、と輝夜は言うのだった。
　百年削られたら、人によっては即死だ。輝夜は驚くべきことに、百十八年前後の寿命を持っていたようだった。
　あと一ヶ月の命と聞かされて、環がまず思ったのは自分の寿命を渡すことだ。

「寿命をあげるには、何と契約すればいいのかしら？サタン？メフィストフェレス？」
「そんなことしなくていい。ただ、最期までそばにいてくれれば」
　輝夜は首を振り、環に熱っぽい視線を送って来る。腕を広げて抱き合う姿勢は万全だ。

「もちろん、そばにいるわっ」
　環は喜んで抱きついていく。

「こうなったら家族に紹介する。もう、命が短いんだ。人生最期ならば反対されようが関係ない。ずっと環といる」
「輝夜っ！嬉しいっ」
　ぎゅうぎゅう、息が止まりそうなほどにきつく抱き合った。

　気持ちがすっかり高まった二人は、服を脱ぐ時間ももったいない、と思う。服を着たままアチコチめくりあげて、ぎゅむぎゅむぶつけ合い、繋がる。

「だーいすきっ」
「大好きだ」
　と余命も物ともせずにラブラブし合う。死ぬ前に輝夜に食べてもらおう、そうして一緒に死のうと環は思っているのだ。