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バカップルの真骨頂

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入って来た輝夜の姿を見て、環もまた驚いてしまう。
 入って来た輝夜は圧倒的な威圧感や覇気が消えており、どこかの貴族のごとく柔らかで品のいい印象を醸しだしている。

「輝夜その姿は、どうして」
「インキュバスの契約がとけた」
「輝夜も契約していたの?」
「じゃあ、環も?」
「ええ、私はサキュバスの契約が切れて。ご覧の通り」

 ナイトドレスの胸元はスカスカだし、お尻もぺったんこだ。肉感的な身体はすっかり失われて、同年代比率で見てもごくごく一般的な体つきになっている。

「様変わりしたな」
 輝夜の言葉にどきっとした。魅惑的な身体がなくなったら、きらわれる?と思ったからだ。
「こんな姿はきらいでしょ?」
 輝夜は目を丸くした。そして、きらいじゃない、と言うのだ。けれど環は信用できない。

「殿方はぷるんぷるんの身体が好きじゃないの?抱き心地のいい肉感的な身体が好きでしょ?」
「好きだ」
「ほら、この身体じゃ」
 手を広げてみせる今の身体は恋恋党の党首としてふさわしくない、と環は思っているのだ。全体的に細身で肉づきはごくごく一般的。抱き心地に絶対の自信のあった身体とは違う。

 環は学園に入るときに、サキュバスに契約を持ちかけられて即座に契約した。ジュニアスクール時代にはこの気弱にも見える見た目のせいで、損をしてきたのだ。面倒な仕事を押しつけられたり、妙な嗜好を持つ相手から好意を向けられたりしてきた。

 心導学園に入る前夜に、
「人生変えましょうよ?全生徒をめろめろにして、学園制覇しましょ?」
 とサキュバスに吹っ掛けられて、そのまま乗ってしまったのだ。

 環のグラマラスバディにめろめろになった人はきっと、今の姿を嫌うに違いない、と環は信じている。それは輝夜も同じだと思っていた。
 環がじっと見つめていると、寝台に近づいてきて輝夜は頬を撫でてくる。

「ぷるんぷるんの唇も胸がなくても。環が好きだよ」
「輝夜」
「どんな姿になっても、好きだ」キラキラと貴公子のような笑みを浮かべる輝夜は、これまでとまた違った魅力がある。
「はぁあ、輝夜ぁ!」

 一瞬でピンクのもやが生まれた。環は輝夜に抱きつく。抱きとめられてしばらく抱き合っていた。
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