♡バカップルでごめん♡

KUMANOMORI(くまのもり)

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不正を暴くために不正をはたらく

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「あ~っ大好き~!」

 月初め党会の後で宿舎に帰ろうと校内を歩いていたところ、夏嶺がそろそろと近づいてきて、出し抜けにその音声を聞かせてきた。環は、あんぐりと開いた口が塞がらない。

「あの日は随分と、ピンクでとろんとろんなお時間を過ごされたようで」

 不敵な笑みを浮かべた夏嶺は環の髪を一房とり、
「取り引きしましょう。お二人のことは内密にします。その代わりに連立政権をとって、オレを党首にしてください」
 と取引を持ちかけてきた。
 しかしそんな条件を飲むわけにはいかない。輝夜の党に政権を握らせて彼の進路の幅を広げる。二人の目標に水を差すことになるからだ。

「その音声を提出したところで、どうなるの?悪趣味な盗聴の証拠でしかない。私たちである証拠は」
 夏嶺は録音機のボタンを押す。

「輝夜~!もっと来てぇっ」
「ああ、環。もっともっと奥まで」
「……」

 互いに見つめ合ってしまう。夏嶺はぺろりと舌を出した。
 ま、まずい。環の額に脂汗がうかんでくる。

「この音声を聞いた党員や一般生徒はどう思うでしょうか?不正な取引が行われていることを想像するのでは?」
「あなたが、昨夜私にしたことも。不正な取引の証拠になるかもしれないけれど」
「録音しておけばよかったんじゃないですか?」

 しれッと夏嶺は言う。睨み合いがつづく。
 どうしようか?と環の中にいくつかのアイデアが浮かぶ。
 夏嶺を誘惑して陥落、事後の体で強要罪として追放、輝夜の駄々っ子でシンパによる処刑?――――

 環がいくつかのアイデアを思い浮かべる間にも、

「今日のランチタイムに、学園放送でこの音声を放送してしまいますよ?」と夏嶺は脅しをかけてくる。じりじりと焦りがつのり、汗がにじんだ。
「政権を握りたいのは、将来のため?」

「そうですね、出来るだけ学園にいる間に上りつめたいんです」
「研究発表をするとか武術大会で成績をおさめるとか、他にも方法はあると思うけれど」

「回り道がすぎますね。それにあと一年と少しの学園生活でそれは難しい」
「政権はあげられない」
 言ってみてから過失に気づく。にやりと夏嶺は笑う。

「それはつまり、あなたが加担していると暗にしめしてしまっていますよね?」
「だとしたら、どうするの?あなたの友友党の全党員や支持層をもってしても、愛愛党の支持を覆すことは不可能だと思うけど」

「実質連立しているのは、そちらなんでしょうね。党員はいざ知らず、党首同士はがっぷりと四つに組んでいらっしゃる。ずぶずぶなんてもんじゃないですよね、あちこち繋がっていらっしゃって」

 じろりと睨みつけても夏嶺は肩をすくめるだけで物ともしない。何か案があるのだろうか、と思った矢先に腕を取られる。

 後頭部に手をやられたのを感じ、こ、これはマズい、と思ったところでがぷっと深い口づけが来た。夏嶺はブラウスの上から環の胸を揉みしだいてくる。
 さらにぴんっとブラウスの胸元を引けばボタンがはじけ飛び、下着の胸がこぼれだした。
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