8 / 26
不正を暴くために不正をはたらく
しおりを挟む「あ~っ大好き~!」
月初め党会の後で宿舎に帰ろうと校内を歩いていたところ、夏嶺がそろそろと近づいてきて、出し抜けにその音声を聞かせてきた。環は、あんぐりと開いた口が塞がらない。
「あの日は随分と、ピンクでとろんとろんなお時間を過ごされたようで」
不敵な笑みを浮かべた夏嶺は環の髪を一房とり、
「取り引きしましょう。お二人のことは内密にします。その代わりに連立政権をとって、オレを党首にしてください」
と取引を持ちかけてきた。
しかしそんな条件を飲むわけにはいかない。輝夜の党に政権を握らせて彼の進路の幅を広げる。二人の目標に水を差すことになるからだ。
「その音声を提出したところで、どうなるの?悪趣味な盗聴の証拠でしかない。私たちである証拠は」
夏嶺は録音機のボタンを押す。
「輝夜~!もっと来てぇっ」
「ああ、環。もっともっと奥まで」
「……」
互いに見つめ合ってしまう。夏嶺はぺろりと舌を出した。
ま、まずい。環の額に脂汗がうかんでくる。
「この音声を聞いた党員や一般生徒はどう思うでしょうか?不正な取引が行われていることを想像するのでは?」
「あなたが、昨夜私にしたことも。不正な取引の証拠になるかもしれないけれど」
「録音しておけばよかったんじゃないですか?」
しれッと夏嶺は言う。睨み合いがつづく。
どうしようか?と環の中にいくつかのアイデアが浮かぶ。
夏嶺を誘惑して陥落、事後の体で強要罪として追放、輝夜の駄々っ子でシンパによる処刑?――――
環がいくつかのアイデアを思い浮かべる間にも、
「今日のランチタイムに、学園放送でこの音声を放送してしまいますよ?」と夏嶺は脅しをかけてくる。じりじりと焦りがつのり、汗がにじんだ。
「政権を握りたいのは、将来のため?」
「そうですね、出来るだけ学園にいる間に上りつめたいんです」
「研究発表をするとか武術大会で成績をおさめるとか、他にも方法はあると思うけれど」
「回り道がすぎますね。それにあと一年と少しの学園生活でそれは難しい」
「政権はあげられない」
言ってみてから過失に気づく。にやりと夏嶺は笑う。
「それはつまり、あなたが加担していると暗にしめしてしまっていますよね?」
「だとしたら、どうするの?あなたの友友党の全党員や支持層をもってしても、愛愛党の支持を覆すことは不可能だと思うけど」
「実質連立しているのは、そちらなんでしょうね。党員はいざ知らず、党首同士はがっぷりと四つに組んでいらっしゃる。ずぶずぶなんてもんじゃないですよね、あちこち繋がっていらっしゃって」
じろりと睨みつけても夏嶺は肩をすくめるだけで物ともしない。何か案があるのだろうか、と思った矢先に腕を取られる。
後頭部に手をやられたのを感じ、こ、これはマズい、と思ったところでがぷっと深い口づけが来た。夏嶺はブラウスの上から環の胸を揉みしだいてくる。
さらにぴんっとブラウスの胸元を引けばボタンがはじけ飛び、下着の胸がこぼれだした。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語
六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる