あいつの身体を手に入れた日、私は。～その友達はヤンデレの味がした～

あの子の幸せを作るために

3

　――――これは、何？

　頭の中で理解できずに、混乱を極めたまま封筒の中身をチェストの奥深くにしまい込んだ。
　その日、帰宅した常盤と顔を合わせることは出来なかった。

　そして、その後すぐに自宅に捜査が入り、常盤が連れていかれてしまう。
　私はその光景を、信じられない気持ちで見つめていた。

　常盤は花菜野と不倫関係にあった。その日、常盤は花菜野に彼女の飲んでいる薬と飲み合わせの悪い薬を混ぜ込んだお菓子を渡したらしい。
　食べたことにより、花菜野は意識を失い事故に遭ったと報じられていた。

　家宅捜索と取り調べがあったのちに、知らされた事実に、私はどこかぼんやりとしている。
　送られてきたUSBメモリの中身や写真、DNA鑑定結果の紙のことを思い出した。
　これを送って来た人が通報したの？

　常盤は、
「水引花菜野さんは、今後の人生に悩んでいたようです。薬を用意してほしいと言われたので、お菓子に混ぜこんで分からないようにして渡しました」
　と言い、関係に関しては認めているようだった。

　連絡を取っていたスマートフォンの証拠を消した映像が残っていたため、常盤は自殺ほう助として逮捕される。

「なんで」
　と聞く私に常盤は、
「碧衣の人生に残るためにだよ」
　と立ち消えそうなほどに小さな声で言った。