あいつの身体を手に入れた日、私は。～その友達はヤンデレの味がした～

裏切ったのは誰？

9

　常盤は後ろから抱きしめてきて、私の上半身をソファに押しつけた。
　ショーツを引きはがされて、ソファの上でお尻を突き出す格好になる。腰を押さえつけられながら、後ろから強引にうがたれた。

「ぅうん」
　と呻き声をあがり、隣の部屋をうかがう。

「あげないよ、緋々来には」
　と常盤は、私の背中に息を這わせながら言った。
　常盤は動くたびに、ソファの皮のカバーがキュルキュルとこすれる音がする。細切れに声がもれた。

　私は、緋々来のものになろうとしたことなんて、ないのに。
　ううん、一度だけ。すべて差し出した瞬間があった。
　でも、常盤は、それを知らないはずだ。

「碧衣は俺ものだよ」
　と常盤の声が耳元で聞こえる。

　大丈夫、私は離れないから。不安にならないで、常盤。
　とずっと思って来ていた。
　でも、常盤の心が私から離れていなかったとは限らない。
　常盤と花菜野のことが、ずっと気になっている。


　常盤の熱い息が首の後ろを撫でてきて、中で熱が弾ける気配を感じた。
　あおい、と囁く。

　常盤の好きな人は誰？
　常盤は私にそばにいて欲しいだけで、本当は好きなわけじゃないのかもしれない。
　もしそうなら、私は何のために、常盤といるの？

　私は常盤のことが好きだよ。
　穏やかな日々が続けば、それでいい。常盤が笑顔になってくれればそれでいいの。

　でも、常盤に私の思いが伝わっているようには、思えない。

「好きな人のことは、安心できないものだよ」
　と昔花菜野が言っていたのを思い出す。

　安心させることが出来ない。安心し合えないなら、何のために私たちは一緒にいるんだろう？