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裏切ったのは誰?
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「緋々来は、本当に碧衣のことが好きだね」
「花菜野のことがあったから。心配してくれただけだと思う」
「それは本当に、心配かな?」
常盤の言葉はどこかざらざらとしていて、刺や毒の気配がある。
「どういう意味?」
「多分、せいせいしているか。やっと解放されたと思っていると思うよ。花菜野がいなくなってくれて、良かったって」
「どうして緋々来がそんなことを思うの?友達が亡くなってそんなこと、思わないと思う」
「碧衣は友達が亡くなったら。そんなことは、思わないんだ?」
「そりゃそうだよ。常盤だってそうでしょ?」
私の問いは、
「そんな話、どうでもいいよ」
と冷たい声音で閉ざされてしまう。
そして常盤は私のアカウントを操作して、緋々来のアカウントをブロックしてしまった。
「何するの」
「ブロックは後で解除していいよ。でも、その個展には、俺も行く」
と常盤は言う。
私は常盤の顔を見た。私の視線を受けた常盤はなぜか微笑んだ。
「緋々来と最近連絡してるの?」
と聞いたら、首を横に振った。
「でも、昔から知ってる友達同士なんだし。別に問題ないと思うよ。緋々来だって、一人で来てとは言ってないし」
そう、常盤の言い分は正当だ。二人きりで会おうとしていた私こそが、おかしいのかもしれない。
「そうだね」
常盤はこうやって、私を絡めとる。大学生の頃の常盤のイメージだ。いつも何かに追われているかのように、焦っている。
結婚してからは、そんな焦りは見えなくなっていたのに。
「花菜野のことがあったから。心配してくれただけだと思う」
「それは本当に、心配かな?」
常盤の言葉はどこかざらざらとしていて、刺や毒の気配がある。
「どういう意味?」
「多分、せいせいしているか。やっと解放されたと思っていると思うよ。花菜野がいなくなってくれて、良かったって」
「どうして緋々来がそんなことを思うの?友達が亡くなってそんなこと、思わないと思う」
「碧衣は友達が亡くなったら。そんなことは、思わないんだ?」
「そりゃそうだよ。常盤だってそうでしょ?」
私の問いは、
「そんな話、どうでもいいよ」
と冷たい声音で閉ざされてしまう。
そして常盤は私のアカウントを操作して、緋々来のアカウントをブロックしてしまった。
「何するの」
「ブロックは後で解除していいよ。でも、その個展には、俺も行く」
と常盤は言う。
私は常盤の顔を見た。私の視線を受けた常盤はなぜか微笑んだ。
「緋々来と最近連絡してるの?」
と聞いたら、首を横に振った。
「でも、昔から知ってる友達同士なんだし。別に問題ないと思うよ。緋々来だって、一人で来てとは言ってないし」
そう、常盤の言い分は正当だ。二人きりで会おうとしていた私こそが、おかしいのかもしれない。
「そうだね」
常盤はこうやって、私を絡めとる。大学生の頃の常盤のイメージだ。いつも何かに追われているかのように、焦っている。
結婚してからは、そんな焦りは見えなくなっていたのに。
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