あいつの身体を手に入れた日、私は。～その友達はヤンデレの味がした～

裏切ったのは誰？

2

　残された日羽はご両親が育てることになったらしい。
　けれど、私は鳩羽と同時期に生まれた日羽のことが気になっていた。

　日羽は鳩羽とも仲が良かったので、一緒に過ごす機会を作れるように、ご両親に、
「日羽のことは協力します。きっと花菜野もそれを望むと思うから」
　と告げる。

　そのうちに、日羽は私たちの家で過ごすことが増え、鳩羽とさらに仲良くなった。まるで姉弟、兄妹のようだな、と私は思う。

　仕草も瞳の色も髪の色も、表情もみんな、二人はそっくりになっていくのだ。
　そんな様子を見守っているうちに、一つ、今までは気にもしなかった可能性が、頭に浮かぶ。
　三年前に、緋々来の家で花菜野と結ばれたことを思いだす。

　倒錯した時間のことは、緋々来が去ったのと同時に記憶に蓋をした。
　あのアバター試用試験のことは、記憶の片隅に存在するきりだ。

　けれど、少しだけぼんやりと思考を傾けてしまえば、恐ろしい可能が思い浮かぶのだ。
　あの時、私が手に入れていた身体は、彼の身体だった。

　そして、もしその彼と花菜野との子が日羽であるならば。
　その日羽とそっくりな鳩羽の親は――――？

　それを知るのは簡単なことだ。DNA鑑定をすればいい。
　けれど、それを知ったところで、何になるのか分からなかった。

　私は常盤と別れるつもりはなかったし、調べたところでいい変化があるとは思えないからだ。