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どれが本当?
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しおりを挟む「そうなの?見間違えだったのかな」
と私は言った。
「多分そう。常盤は目立つけど、私は割とありふれてると思うし。特に今のこの髪色は間違えやすいって」
と言って花菜野は自分の亜麻色の髪をひらっとつまんでみせた。
あれは、間違いなく花菜野だったと思う。
ホテルに入っていたのを見ていた。短絡的な思考はしたくないけれど、隠されれば隠されるほど、怪しくなってしまう。
胃の中に食べ物が落ちていく気がしない。
「碧衣は二人目とか考えてないの?」
と花菜野は出し抜けに、聞いてくる。
「あまり、乗り気じゃない。常盤はときどき乗り気だけどね、お酒を飲むと特に」
と少しだけ火種を入れ込んでみる。
けれど、
「そっか、常盤は碧衣のこと好きだからね。そもそもが授かり婚だし。上手く言ってるならいいじゃん」
とさらりと流されてしまった。
花菜野のことを疑いたくはない。
それに、学生時代はまったく意識したこともなかった。
けれど、こうして常盤といたことを隠さなければいけない理由はなんだろう?
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