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順調ってどういうこと?

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 そして、二秒ほど見つめ合ってしまった。

 目を逸らそうとしたら、逃げる気かよ、と視線を送って来たので、
「どんな意味で、プレゼントしてくれるんだか」
 と私はコメントだけはする。

「友達に、花をプレゼントするのは変じゃないだろ」
「そうだね。変じゃない、けど」
 最近の私たちは、普通の友達だった?と思う。

「あれから、変わっちゃったよな。やっぱり」
 緋々来の言っている意味は分かった。それは、私が思っていたのと同じことだ。でも、そういう関係に誘導したのは、緋々来なのだ。

「元に戻ればいいんじゃない?」
 と私は言う。緋々来は首を横に振った。

「もう、戻れない」
 と言うのだ。その顔には、落胆の色が浮かんでいた。

「戻れるかどうかは、自分たちで決められると思う」
 それは素直な思いだ。私は緋々来とのテンポ良い会話は好きだし、友達としての相性はいいと思うから。

「無理だな。進むしかない。戻るのは無理だ」
 と緋々来はらしくもなく言った。

「そっか。やってくれない私には、興味ないみたいな感じ?」
 と私はわざといやな言葉を選んで言う。
 そうだったらやだな、と思うことをあえて言うのは、自虐行為だな、と思うのだけれど。

「そういう風に、思われてるのは分かってる。身体目的だって思ってるだろ?だから、碧衣はオレのこときらいなんだ。分かってるよ」
「だって。いつも、そういうのしか、しないじゃん。しなくなっちゃった。緋々来は花菜野と付き合ってるのに、そんなの変だもん」

 バカみたいな話をしたり、何気なく遊びに出かけたりする。それで良かったのに。

 もし、緋々来が花菜野と付き合っていなければ、私たちは仲のいい関係のままで、付き合えたかもしれない。
 私は友達の彼氏と肉体関係をもって、それはそれ、と割り切れるほど、器用じゃない。

「変なのは、分かってる。でも、オレ自身の思いを通したら。碧衣と一緒にいられない。それはいやだから、オレは思いを殺すんだ」
 と緋々来は言った。

 そして、私の手に触れてくる。私は目を見張った。
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