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大好きな親友

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「そう思うよね。結婚は十年後くらいに考えたいレベル」
 なんで、常盤はそんなに焦るんだろう。

「でもさ、結婚するなら。常盤はよさそう。将来性はあるし、見た目もあの通り。頭もいいしね」
「すごくひどいこと言ってると思うけど。常盤が浮気してくれたらって思うんだよね。そしたら、別れられる」

「えー。ひどくない?それ」
 と花菜野は声をあげる。
「でも、自分が不利になるようなこと、常盤はしないって思う。浮気して別れると、常盤は不利だもん」

「前は護ってあげなきゃって言ってなかった?」
「言ってたよ。今も思ってる。でも、ずっと一緒にいるのは辛いかもとは思いはじめている」

「何で?」
「常盤がしたいことが、分からないからかな。常盤は私が何をしても、満足しないし。安心できないみたいだから」

「それが、好きってことなんじゃないの。好きな人のことは、いつだって安心できないよ」
 と花菜野は言う。

「花菜野は緋々来にそんな風に思うの?」
 と私は興味本位で聞いてみた。

 二人がどんな経緯で付き合ってのか、分からない。けれど、続いているということは、順調なのだろう、と私は思っている。

「緋々来には思わない。そんなに期待してないから。でも期待してる相手には、安心できないものだよ」
「そうなんだ」

 期待してない?とてもさっぱりした関係だな、と感じる。

 私は常盤に何を期待していただろう?
 笑顔かな。

 初めてお店に来てくれた時、花を渡した瞬間の笑顔。
 あの笑顔を取り返したいって思ったのかもしれない。

 常盤は私といると、笑わない。
 笑ってもらうのには、どうしたらいいのかな?


 色々ぼんやりと考えながら、歩いていたら、花菜野が手をつないで来た。
「あーちゃん。気分転換しよう」
 と珍しく、昔の呼び名で呼んで新しいジェラート店の店を指差す。

「やった」
 と私は花菜野の手を握りかえした。花菜野が笑うので、私も嬉しくなる。

 常盤と上手くいかなくても、緋々来と気まずくても、花菜野がいればいいや、と思う。
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