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最高で最悪の予行演習
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しおりを挟む緋々来のことは仲のいい友達だったけれど、一筋の汚れが走ったような気がして、私は緋々来と距離を取り始める。
一方で緋々来はこの日以降、試したいことがあるんだけど、と言って誘いをかけてくるようになった。予行演習のために。
そして、身体のあちこちを触れてきて、「気持ちのいい場所探し」をさせられる。何度かそういう機会があって、私は少しずつ、確実に、緋々来との時間がいやになって来た。
「気持ちいい?」
と緋々来は聞いてくるし、実際に気持ちはいい。緋々来とは色々なテンポがあっているから、こういう場面でも相性が良かったみたいだ。
「蕾みたいだな」
と言って胸の先や、足の間を優しくたしかめてくる。
緋々来は、本当に大切なものを扱うみたいに、触るから、いつも、身体が甘く痺れてしまった。
でも、なんか違うな?と思いはじめる。
これはあくまでも練習だし、この先に何もない。
それにこれって、浮気と何が違うんだろう?
花菜野と付き合ってるのに、なんか、緋々来って不潔。
と私は思いはじめるのだった。
だから、その日、存分に気持ちよくしてもらったあとで、
「私、緋々来のこときらいになりそう。しばらく会うのやめよう」
と言ったのだ。
緋々来はキョトンとした顔をしていた。
「なんで?いやだった?」
「違う。でも、しばらく距離取りたい」
「いやなことがあったら、言って欲しい」
「ごめん、しばらくしばらく会いたくない」
それだけ言って、私は逃げる。
緋々来は無理やりしようとしてないし、いやなことはなにもなかったし、痛いこともなかった。
でも、私が緋々来したいことは、こういうのじゃないんだよな、と思ったのだ。
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