神獣たちの戯れ・碧羅姫と麒鞠王子の縁組～婚外交際のすすめ～

龍鳥の耽美なる戯れ

3

　静が拳を繰り出せば、飛鳥は掌で受け流す。
　静の本気は飛鳥の火の気へと止めどなく変化してしまうため、二人は端から闘いの相性ではない。静の風をはらませば、飛鳥の炎がより強く燃える。
　静は常に飛鳥の力を強めるのだ。飛鳥は静より出でた火の気を静へぶつけることはできない。

「不毛だ」
　と飛鳥が呟く。それは静も感じていることではある。静が蔦を伸ばし飛鳥を絡めにかかれば、たちまち蔦が炎の帯に変化していくのだ。静の力は飛鳥に流れ、飛鳥の力を倍増させる。

　二人は協力体制に最良であり、争いには不毛な関係なのだ。
　静がなんとかして拮抗を崩そうと拳や脚を繰り出してくるので、闘いに乗り気ではない飛鳥は及び腰になる。それが分かるからこそ、静はつまらないと思うのだ。
　中宮での戯れ以降、子どもの頃のように、なにかれ構わず戦えないものかと思っていたのである。

　なんとかして、飛鳥を本気にさせられないか、と思っていたら、飛鳥が腕を掴んでくる。

　シャラリと腕輪がなり、静の気が削がれた瞬間に、飛鳥が顔を寄せ口づけをしてきた。こんなときに何を！と静にわずかな怒りが生まれた瞬間に、体内に火の気が生まれる。

　強い力が、静の木の気を次から次へと飲み込んでゆくのが分かった。自分の中の気が枯れていく――――と思ったとき、唇が離れ、静は花壇の草木の上で、飛鳥に組み敷かれてしまう。