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龍の戯れと閉幕

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 戯れのように茉虎と莉虎とも剣を交え、静は木気をばらまいていく。
 父と劉龍は静に、そろそろやめよ、と視線を送ってきている。調子に乗りすぎると、父や兄が押さえにかかってくるのは分かっていたし、虎煌に出てこられた日には、さすがに敵うべくもない。そろそろ潮時だ。

 静は宝剣の掲げてある祭壇の上に飛び乗る。そして宝剣を手に持ち、もてあそんで見せる。馬鹿なことを、と劉龍が低く呟いた。

「さて、私は婚姻を偽り、婚外交際に励む不届きもの。とはいえ、婚外交際は、五家と麒鞠間ではかねてより散見するご様子です。麒鞠の秘密をご存知の虎煌様、そうではありませんか?」
「なんのことだ」
 虎煌は眉一つ動かさずに言う。相変わらず隙が見えない。

「そして、麒鞠王様。退位なさって悠々自適の一人勝ちでございますか?愛するお方はどこにいらっしゃるでしょう?」
「何とでも申せ」
 こちらもまた、さすが王とみえ、分かりやすい反応が見えない。

「晶亀様、申し上げにくいことではありますが、あなた様が純真でいらっしゃりますね。姉君が不遇におかれていると思っていらっしゃる」
 一番分かりやすく顔色を変えたのが、晶亀である。
「何を言っているのだ?」

「不遇なんてとんでもない。愛を受けていらっしゃる。そうですよね?虎煌様?」
 再び問うてみても、全く表情を変えない。
「さあ」

「これは、完全な独り言ですが、根はすべて元に戻っております。ゆえに今、麒鞠にとって何の恐れも遺恨もございません。つつがなく統率されております」
 晶亀の顔に動揺の色が広がる。根のことは耳に入っていなかったようだ。

「麒鞠の統率力は健在のご様子。よって麒鞠の方が王になられるのが、やはりよろしいかと思います」
 静の言葉に晶亀が瑠亀を伺うが、瑠亀は首を横に振るのみだ。晶亀が呪を施そうとしているのは分かった。
「そして、これも独り言ですが。呪を施すための水気は、私の木気を良く育ててくれますゆえ。呪は非常に練りにくいかと思います」
「無礼な、何を申している」
 と晶亀は言うが、顔には動揺の色が広がる。

「それでは、即位式を再開いたしましょうか」
 と静は言い、祭壇の上から飛びのいた。降りたった静に寛麒が黄金の杯を渡す。

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