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即位式
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木気が突風のように流れ込んできて、皆が一様に出所を探していた。
「静」
と飛鳥が天井を見上げ呟くのを聞き、なるほど、面白き妻であった、と寛麒は思う。
そのとき、中宮の謁見所の天井にヒビが入った。ヒビはあっという間に大きな穴となり、天井が崩れ落ちる。当主や次期当主たちは銘々に散り、瓦礫を振り払った。
劉龍は目を白黒させ、「やりすぎだ」と呟く。空いた穴から、蔦がぐんぐんと伸びてきて、謁見所の天井から壁へと這い入ってきた。間もなく、五体の木像が落ちてくる。
それぞれ、五家の象徴を彫っていた。木像が落ちてきたことで、謁見所内はより乱雑になって来る。天井にぽっかりと空いた穴からは、晴天が見えていた。
「いい加減にしろ」
と邦龍が低く呟いたところで、一陣の風が入り込んでくる。
風に乗って碧色の龍が入り込んできた。即座に変化を解き、その者は寛麒の前に姿を現す。碧色の装束に身を包んだ、気の強い眼差しが目立つ美しい姫だ。しかしその衣服は碧羅の姫のものではなく、巽宮当主の装束であった。
「お久しぶりです、寛麒様。この度はご即位おめでとうございます。改めまして、巽宮当主となりました、静龍でございます」
飛鳥と虎牙などの時期当主格の者たちは、息を飲む。
「久しいね、静龍。相変わらず、勇ましく麗しい」と言い、寛麒は静の髪に口づけをした。始めますよ、寛麒と小さな声で言った後に、
「そして、王の座をいただきに参りました」
不敵な笑みを浮かべ、自分に剣を向けた静龍を見て、ああ、なんて面白い、と寛麒は心より思う。
一同が驚きに声をあげるのを聞き、寛麒もまた腰の鞭を取りだした。
「静」
と飛鳥が天井を見上げ呟くのを聞き、なるほど、面白き妻であった、と寛麒は思う。
そのとき、中宮の謁見所の天井にヒビが入った。ヒビはあっという間に大きな穴となり、天井が崩れ落ちる。当主や次期当主たちは銘々に散り、瓦礫を振り払った。
劉龍は目を白黒させ、「やりすぎだ」と呟く。空いた穴から、蔦がぐんぐんと伸びてきて、謁見所の天井から壁へと這い入ってきた。間もなく、五体の木像が落ちてくる。
それぞれ、五家の象徴を彫っていた。木像が落ちてきたことで、謁見所内はより乱雑になって来る。天井にぽっかりと空いた穴からは、晴天が見えていた。
「いい加減にしろ」
と邦龍が低く呟いたところで、一陣の風が入り込んでくる。
風に乗って碧色の龍が入り込んできた。即座に変化を解き、その者は寛麒の前に姿を現す。碧色の装束に身を包んだ、気の強い眼差しが目立つ美しい姫だ。しかしその衣服は碧羅の姫のものではなく、巽宮当主の装束であった。
「お久しぶりです、寛麒様。この度はご即位おめでとうございます。改めまして、巽宮当主となりました、静龍でございます」
飛鳥と虎牙などの時期当主格の者たちは、息を飲む。
「久しいね、静龍。相変わらず、勇ましく麗しい」と言い、寛麒は静の髪に口づけをした。始めますよ、寛麒と小さな声で言った後に、
「そして、王の座をいただきに参りました」
不敵な笑みを浮かべ、自分に剣を向けた静龍を見て、ああ、なんて面白い、と寛麒は心より思う。
一同が驚きに声をあげるのを聞き、寛麒もまた腰の鞭を取りだした。
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