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裁き
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しおりを挟む「卵の証拠は消したか。あの色は、紗紅那の姫だな。小賢しいまねをしたものだ。ともあれ、静龍お前の身の上は確保させてもらう」
強い金の気に、静は身体の震えを隠せない。
「なぜ、あなたが」
虎雨の鎖とは比べ物にならない太く頑丈な鎖が、静の手足に絡まって来る。
「お前が求めていたのは、私だろ。あるいはお前たちが呼び寄せた」
さらには胴や腹部にも、巻きついてくる鎖に強く締め付けられ、静は息が苦しくなるのを感じた。
想像していないわけではなかったが、この人の強力な金気については、もう少し警戒しておくべきだった、と静は思う。
鎖を強く引き、静はその人の元へ引き寄せられた。
「鈴龍によく似ているな」
無感動に感想を述べた後、その人が静の腕輪に触れると、腕輪は黒く変色し、ほろほろと崩れていく。崩れた黒い腕輪の残骸を、その人はガラスの入れ物に収めた。
「偽物だな、これで証拠は揃った」
静は歯噛みする。二つとも無事とはいかないか、と思った。けれど、同時に産屋の外で、
「王が呪を浴びたようです。静龍様、ご無事でしょうか?どうぞご参集ください」
と侍従の声が聞こえる。静は目の前のその人へ視線をむけた。
「なぜ」
「さあ。こちらには関係の無き事。そしてお前にも関係のないことだ」と虎煌は言い、幹の上にいた虎雨を呼び寄せた。
「静龍お前を乾宮にて裁判にかける。婚姻を装った罪、そして、王子の子を産んだという虚偽の罪だ」
「その罪は、私だけのものでしょうか。過去の事例に関しては遡及されないのですか?」
静は、自分の持つ手札をギリギリまで匂わせようとしてみる。虎煌どの立場にいるのかを測りたかったのだ。だが、虎煌の目の奥には感情は見えず、
ただ、
「お前の罪に他ならない、余計な言葉は慎め」と言い、鎖を強く引くのみだ。
そのもの言いに、腹が立った静が風を送り込んでみれば、虎煌は手をかざしすべてを消し去ってしまう。さすが、乾宮の当主とでも言うべきだが、全く歯が立たない自分に、静は落胆するのだった。
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