神獣たちの戯れ・碧羅姫と麒鞠王子の縁組~婚外交際のすすめ~

KUMANOMORI(くまのもり)

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謀略

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 中宮を始め、五家にその知らせが行きわたるのには、さほど時間がかからなかった。
 寛麒と静は、中宮の謁見所にて麒鞠王との話の場を設けてもらう。

「事前に寛麒より聞いてはいたが、静龍。卵産がなされたとは本当か?」
「はい。碧羅は卵生ゆえ、孵るまでに時間がかかります。現在、産屋にて封印を行ってもらっております」

 静の言葉に、麒鞠王の貝紫の瞳が鋭く光る。静や寛麒の行動の真偽をはかりかねているのかもしれないとは思う。麒鞠王には静が鈴龍の幻想と接触したことを伝えてはいない。王后や朗麒、楊麟、侍従や親族筋がその場にはおり、

「めでたいことです」
 と朗麒が言う。楊麟もまた、
「良いことは多い方がよいですね」
 と感想を述べるのみだ。

 静は朗麒の反応が気になったが、朗麒には他意はないように見える。一方で、王后の表情が曇っているのが印象的だ。艶やかな玉の肌には影が落ちている。

「麒鞠の子として生まれたからには、祝福が必要になる。孵ったときには祝福式を行おう」と麒鞠王は言った。
「ぜひお願いします」
 と静は言い、寛麒と共に、その場を離れることにした。

 接見所を出て、寛麒は東堂へ向かい、静は訓練所は向かう。兵たちと共に訓練を行うのが静の日課だ。静が訓練所にて着替えを終えたところで、王后の来訪を受ける。静は「やはりか」と思ったが、兵長は珍しい人の来訪に驚きの声をあげていた。

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