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婚外交際

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 艮宮に戻ると、土気で作った仮の根を封印し終わった寛麒が待っていた。四人もまた仮の根を封印し終わった廟を確認し、任務が終わったことを確認する。

 静は寛麒にすぐにでも報告をしなければ、と思ったが、静の切り裂かれた着物を見るや、
「呪だね。何か不具合はあったかい?」
 と尋ねてくる。

「呪により、皆とはぐれました。けれど、寛麒からお借りしていた鈴のおかげで、こうして戻ることができました」
「そうか。しかし傷跡が痛々しい。手当をしよう」
「この程度の傷ならば、大丈夫です。それよりも、詳しいご報告をしたいのですが」
 と静は告げた。

「報告は楽しみだけれど。静龍、凄まじい木気だね。中宮に戻る前に、少し解放して来たらどうだろう?」と寛麒は、虎牙と話している飛鳥を横目に言う。
「そ、それはどのような意味でしょうか?」

「そのままの意味さ。飛鳥は、静龍が傷つけられたことに納得がいかないだろうね。私もまた納得は出来ない。ただ、飛鳥は静龍が鞘とならなければ、自ら裁こうとするかもしれないよ」

「それは困ります。まだ、仮説の段階ですが、少し見えてきたものがあるように思うのです」
「それは、後々聞かせてもらうとして。愛おしい人の心を救うのもまた、そなたの仕事だ」
「しかし、どのように?艮宮には様々な方がいらっしゃります」
「もっともな心配だね。艮宮南東の離れに結界を張っておこう。そこで話をすればよい」
 と寛麒は言う。

「寛麒、私はあなたの」
「母上の気配がした。すべてを推し量ることはできないけれど、少しは分かるつもりだよ。ただ、今は、静龍が無事でよかった。それ以上のことは望まないさ」

 そこまで話すと、寛麒は微笑み、行っておいで可愛い静龍、と言い送り出してくれる。
 静は少しばかりの名残惜しさを感じながら、寛麒の元を離れ、飛鳥の元へ近づいていった。
「飛鳥」
 と静が声をかけると、虎牙は静に目配せし、飛鳥の肩を叩き去って行こうとする。

「話の途中だったのではないの?」
 と虎牙に声をかけるけれど、後ろ手に片手をあげて見せ、
「お前たちの艶にあてられてしまうから、ここは去るよ」
 と言うのだった。
 席を外してくれるのはいいが、一言余計だ、と静は思う。一方で飛鳥は神妙な顔で、
「静、話をしたい」
 と言うのだった。寛麒に言われた通りに、
「艮宮の離れに行きましょう」
 と静は言う。

 
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