神獣たちの戯れ・碧羅姫と麒鞠王子の縁組～婚外交際のすすめ～

鬼脈と呪術

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　その後、二人は艮宮の宮殿に入り、他の三人と合流する。
　寛麒を中心とし、静と飛鳥、虎牙、璃蛇の五名が艮宮の宮殿に集結した。五名で艮宮の廟にある丑の根を確認し、失われているのを確認する。

　艮宮の当主は玄毬筋のため、璃蛇は親しげに話をしていた。
　当主の弁によれば、艮宮付近の洞窟から魔物が吐き出されてきたことで、民や野生の動物が傷つけられた事例が続出しているらしい。艮宮や坎宮の者が退治に向かっているが、限界が来ているようだった。

　寛麒は艮宮の廟に残り、仮の根を封印する準備を行うことになっている。四人が鬼脈の中の魔物を退治し、合図を出した後で行う必要があった。坤宮側からやって来る、麗虎を始めるとする三人と合流したところで合図を送る手はずとなっている。

　合図に使うのは、鐘だ。特殊な音色を持つ鐘を鳴らすことで、鬼脈が整った合図を送ることになっているのだ。
　この作戦では、艮宮の寛麒と同時に坤宮の朗麒も根の封印を行うため、時間をかけるのは得策ではない。

　寛麒を宮殿に残し、さっそく静たちは艮宮の宮殿裏の祠に向かった。血管のようにいくつも伸びている気脈の中でも、艮宮の山の祠から伸びている気脈が最も太くしっかりしているようだ。
　艮宮から伸びる気脈は、洞くつの様相を呈していた。

　本来艮宮から坤宮までは馬で駆けても丸二日はかかる。しかし、気脈の中では時空が伸び縮みするといわれているため、中に入った者次第で、時間や距離が変わるという。