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神獣たちの初夜

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 しばらくただのくすぐりのような行為に堪えていたら、
「もういいよ」
 と寛麒が言い、ようやく静の腰から尾を離してくれるのだった。
 静はくすぐったさから逃れるために寝屋の板を掴んでいた爪を外し、尾を丸める。静が首を板につけ、髭をくゆらせていたら、首の裏に寛麒の鬣があたった。

「美しい碧色の鱗だ。碧羅の者は皆碧色なのか?」
「いいえ、兄や姉、妹は、それぞれ別の色を。私にご加護をくださったのが、碧色の龍でした」
「美しいな。私の母もまた、碧色であったと聞いている」

 龍と麒麟の交わり、婚外交際という言葉をすでに聞いていたので、寛麒の言葉に静はにわかに、気まずさを感じる。寛麒と恋仲になったつもりはない。

「変化を解いても?」と静が尋ねると、
「このまま解けば、素肌の姿になるだろうけれど。それで良いのならば」と寛麒は言う。

「嘘ばかり」と言い、静は変化を解いた。
 白い装束の姿に戻る。目の前の寛麒はまだ変化を解いておらず、その身体は五色に輝く背毛や金色の鱗が光り輝いている。金色の角と鬣が美しく、思わず静は手を伸ばしそうになった。

「見事ですね」
 と触れそうになったところで、寛麒が変化を解いたので、まるで寛麒の頭を撫でるような素振りになってしまう。静が手を思わずひっこめると、寛麒はクククッと笑った。

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