神獣たちの戯れ・碧羅姫と麒鞠王子の縁組~婚外交際のすすめ~

KUMANOMORI(くまのもり)

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不本意な縁組

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「お姐様や桃の方が、殿方には好まれるかと思います。私は王とは言えど強引に他家から女性を召し抱えようとする殿方は、好みません!お断りを!」
「そうはいかぬのだ。麒鞠との縁組は、この三十年運での決め事だ」

「縁組が行われない年代もあったそうじゃないですか。所詮、碧羅家の長老たちのつまらない謀でしょう?長老たちの首を全てとってしまえば、こんな縁組なかったことになるのでは?」
 静の物騒な提案に、邦龍は首を横に振る。

「そうではないのだ。今回の縁組は、麒鞠の次期王、寛麒(かんき)様から直々の願い出のようなのだよ」
「なぜです?次期王は八卦や亀卜でお決めになったのですか?縁もゆかりもない相手を、なぜ?」

「分からぬ。しかし、この三十年運は碧羅家と麒鞠家の縁が深まる時期。麒鞠からの縁組を拒むことは叶わぬ」
「いやです。私は碧羅に残ります」

「俺もそう思っていた。静、お前は姫でありながらも武勇に長けている。巽宮当主となり、いずれは、劉とともに碧羅を導いてくれると思っていた」
「であれば、お断りをすればよい話!」

「麒鞠との縁組は、話が出た時点で必ず遂行せねばならぬ。それが我ら五家の決め事だ」
「そんなこと、知りません!他三家であればともかく、麒鞠との婚姻となれば、碧羅を出なければいけませんし。それに、私には……」

 静には事実上の婚約者がいる。紗紅那(しゃくな)家の二男、飛鳥(ひちょう)。
 武力が拮抗している両人は、兄妹や友のように親しみ合い、高め合ってきた仲である。成長した現在では思い人だ。暴れ馬のような静の鞘となれるのは、飛鳥だけだと言われてきた。碧羅、紗紅那では公認の仲である。
 邦龍は頷いた。


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