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偽りの五夜目
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しおりを挟む「だが、采配者にはかなわない。生まれ順ではなく、この血統で俺は第一王足りえた。采配者はあらゆる種族を統べる力を持つ」
ランドルフ様の指があらぬ部分をえぐって来たので、悲鳴のような声が出てしまう。静かにしろ、と口を手でふさがれた。
何も起こらない。蹴り飛ばそうとする私の足は、ランドルフ様の止まれという一言で動かなくなっていた。
「結局、お前も女だな。一流の男に抱かれてみたい、そんな下世話な思いを隠し持っていたわけだ」
首を振れば頬を押さえ込まれて、唇を奪われる。違うっ。これは私が望んだものじゃない、と叫びたいのに、これっぽちも動けないのだ。
強引に腿と左右に開かれて、ランドルフ様が身体を沈み込んで来れば、身体の芯に凍える剣を突き刺されたように感じた。
声もあげられない。
鼻の奥に刺激臭がした。
何かが間違っている。
ランドルフ様もきっとお分かりではない部分で、何かが狂っているのだ。私は手紙を出していないし、この部屋に来ることを誰にも教えていない。
「巫女たちの中で余りものかと思えば、なかなか美味だな」
煽り文句に身体が冷えていき、ひたすらに事の終わりを祈る。
魂の純潔をたった今、散らしたと感じる。
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