第十王子との人違い一夜により、へっぽこ近衛兵は十夜目で王妃になりました。

KUMANOMORI(くまのもり)

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守護者の息吹

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「これで物理的な攻撃からは護られる」
 とヴィルヘルム様はおっしゃる。
 視線があったまま、私は急に頬が熱くなってくるのを感じていた。唇に指をあてたら、視線が動く。

「あ、ありがとうございます」
「悪かった、このやり方しか知らなかったんだ」
 とヴィルヘルム様はおっしゃる。
 そう、ウィリエール様が身体を重ねることで私に力を送り込んでくれたのと、同じだ。

 そのとき、窓の外で何か音がした気がして、私もヴィルヘルム様も柄に手をやる。窓を開けて外を見ても誰もいない。
 私たちは互いに顔を見合わせた。

「ミリア、くれぐれも気をつけてくれ。俺も探ってみる」
 とヴィルヘルム様は送り出してくださる。ドアを出て自室に戻ろうと廊下を行く途中で、レイナード様に出会った。
 私が頭をさげれば、レイナード様はこちらを睨みつけながら、通り過ぎる。

 私が何かしただろうか?と思う。

 レイナード様に同衾をねだる手紙が送られてきた、とエルドナード様はおっしゃっていた。その手紙がもし私が書いたものであるならば、レイナード様の元へ一度届いていたということ?

 でも、元々はヴィルヘルム様へあてた手紙だ。なぜそれがレイナード様の元に届くの?

 ヴィルヘルム様の宿舎に挟んだはずの手紙がレイナード様の元に行き、そしてエルドナード様の元へ行った?
 どうして?

 思えば、ヴィルヘルム様がレイナード様の護衛についていたことがあったように思う。
 あとでヴィルヘルム様に詳しい話をうかがってみようと思うのだ。

 まずは、ウィリエール様に黒い羽根を持つ小人の使い魔について尋ねてみなければ。
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