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名前のない関係
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泣き声が聞こえて、スマートフォンを開いて映像を確認すればベッドの中で目を覚ました赤子の姿を確認できた。
ベッドの部屋に行き、子どもを抱きあげる。
本能的に私達は相性がいいと輝夜は言っていた。そこに異論はないし、身体の相性がいいことは間違いない。
今の私は夏嶺の妻として、そして輝夜は旧姓夏嶺泊の夫として、戸籍上婚姻関係を結んでいた。
「閃夜、おむつ替えするね。そしたらミルクだよ」
ベッドの中で赤ちゃんのおむつを替えて、抱きあげてリビングへ行く。ウォーターサーバーのお湯を注いで、ミルクを作って飲ませていたら、帰宅した輝夜がやって来た。
代わるよ、と言って閃夜を受け取れば、ミルクを飲ませていく。手際の良さに驚いてしまう。ひとしきりミルクを飲ませて、げっぷをさせれば、閃夜は再びスヤスヤと寝息を立て始めた。
輝夜は閃夜をベッドに寝かせた後で、視線でサインを送って来る。
「きょ、今日も?」
とやや及び腰になった私が尋ねれば、不服そうな顔つきになった輝夜は、
「契約は続いているんだよ」
と耳元で囁く。
目の前でスヤスヤと眠るこの子は生物学上私達の子どもではない。輝夜の養子であり、彼と血縁関係があるものの、実子ではなかった。
ベッドの部屋に行き、子どもを抱きあげる。
本能的に私達は相性がいいと輝夜は言っていた。そこに異論はないし、身体の相性がいいことは間違いない。
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「閃夜、おむつ替えするね。そしたらミルクだよ」
ベッドの中で赤ちゃんのおむつを替えて、抱きあげてリビングへ行く。ウォーターサーバーのお湯を注いで、ミルクを作って飲ませていたら、帰宅した輝夜がやって来た。
代わるよ、と言って閃夜を受け取れば、ミルクを飲ませていく。手際の良さに驚いてしまう。ひとしきりミルクを飲ませて、げっぷをさせれば、閃夜は再びスヤスヤと寝息を立て始めた。
輝夜は閃夜をベッドに寝かせた後で、視線でサインを送って来る。
「きょ、今日も?」
とやや及び腰になった私が尋ねれば、不服そうな顔つきになった輝夜は、
「契約は続いているんだよ」
と耳元で囁く。
目の前でスヤスヤと眠るこの子は生物学上私達の子どもではない。輝夜の養子であり、彼と血縁関係があるものの、実子ではなかった。
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