妊娠しません!

KUMANOMORI(くまのもり)

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彼しかいらない

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 今度は唇に何度も何度もキスされた。
 ちゅっちゅとくっつき離れる音が、愛おしくてこちらからも唇を近づける。どっちの吐息だか分からなくなる頃には、淫らにも大腿がもぞもぞと動き始めた。

 腿の間に輝夜が左膝を挟み込んで来れば、早くして欲しくなってくる。早く、と言えば、分かってる、と返って来た。

 準備する必要はない。
 昔から私は輝夜に身体を開かれるために、育ってきたと思う。メイクもネイルも、ヘアも、もっと言えばフェムケアも、全部、想定する相手は輝夜だけで、永遠とも思える初恋を持ちこしていた。

 夢想、妄想、どんなものでも、輝夜相手でしかない。狂人なのは、輝夜のお父さんだけじゃなくて、私も同じだと思うのだ。
 好きな人を思い続ける人は、いつだって狂っている。

 下着に輝夜の手が這い入って来たと思えば、中指が第二関節まで入って来て、首をふった。
 欲しいのはそれじゃないよ、と言ったら、中指で裏側からツウっとなぞり、入り口に戻って来て、親指と一緒に核をこねくり回す。

「んぁっ」
 すぐに達せられるような鮮烈な快感が欲しいわけじゃない。もっと深く刻み込まれたかった。
 腰をうねらせたら、やらしいな、と低い声で言われる。早く、と言いながら彼の両の頬に手の平をあてて、唇を奪った。

 輝夜が私のボトムスや下着を外していくので、私は彼のズボンのホックを外し、下着の中へ手を滑り込ませた。焦るなよ、と言いながらも、彼自身が忙しなくシャツを脱ぎ捨てる。私のブラウスのボタンを外し、頭の方からブラウスを抜き取った。ブラジャーのホックを片手で外し、口先で肩紐を外す。強引な手管に舌を巻いた。

「焦ってるのはどっち」
「欲しいものが目の前にあれば、焦るさ」

 スツールの上で足を広げれば、私の背中を支えながら輝夜が入り込んでくる。私の内部は十分に蕩けていたし、充血していた。
 子犬が鼻を鳴らすようなくぅん、という甘い声が漏れれば、もっと声をだして、と言われる。

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