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もう一度ふられたら
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手を引かれ案内されたのはジュエリーショップだ。
それは違う。何もかもがおかしいと言いたかった。
「輝夜、なんで」
「狂人の言いなりになるのは、いやなんだ。オレはただ、環と結婚したかっただけだから」
支離滅裂な行動に私の理解力は追いつかない。
「何も、説明してないよ。分からないよ」
ジュエリーショップに案内され、スタッフの手によりいくつもの結婚指輪を目の前に広げられる。
デザイン案や刻印など様々な提案を受けていた。
スタッフの提案のままに私にフィッティングさせて、
「こっちは、リングのフォルムが大きすぎるな」
「華奢だから、指が綺麗に見えると思う」
「環の指には、色合いがこっちの方が映える」
と感想を言っていく輝夜を目の当たりにして、私は流れを変える術を失う。スタッフが席を離したすきに、私は輝夜の腕を引いた。
「私はまだ、好きなんだよ。こんな風にもてあそんで楽しいの?」
「まだ好きなのに、別の男と結婚して。オレとは結婚してくれないのか?」
返す刀が、心臓を一突きする。
「それは……。一年前なら私のセリフだったと思う」
なんで、ふったの。一年間呪いのように頭にこびりついていた言葉だ。
「まだ、婚約指輪も売らないで持ってる。売り払っちゃおうと思ったけど」
「婚約指輪は売ってもいいし、捨ててもいい。新しい指輪を贈る」
輝夜の指が私の左手薬指を撫でる。
結婚指輪を買ってどうするの。
形ばかりの行動で心は傾かない。でも、私の心はずっと輝夜を思ったまま冷凍付けになっている。
もう一度ふられたら、私の心は死ぬと思うのだ。
それは違う。何もかもがおかしいと言いたかった。
「輝夜、なんで」
「狂人の言いなりになるのは、いやなんだ。オレはただ、環と結婚したかっただけだから」
支離滅裂な行動に私の理解力は追いつかない。
「何も、説明してないよ。分からないよ」
ジュエリーショップに案内され、スタッフの手によりいくつもの結婚指輪を目の前に広げられる。
デザイン案や刻印など様々な提案を受けていた。
スタッフの提案のままに私にフィッティングさせて、
「こっちは、リングのフォルムが大きすぎるな」
「華奢だから、指が綺麗に見えると思う」
「環の指には、色合いがこっちの方が映える」
と感想を言っていく輝夜を目の当たりにして、私は流れを変える術を失う。スタッフが席を離したすきに、私は輝夜の腕を引いた。
「私はまだ、好きなんだよ。こんな風にもてあそんで楽しいの?」
「まだ好きなのに、別の男と結婚して。オレとは結婚してくれないのか?」
返す刀が、心臓を一突きする。
「それは……。一年前なら私のセリフだったと思う」
なんで、ふったの。一年間呪いのように頭にこびりついていた言葉だ。
「まだ、婚約指輪も売らないで持ってる。売り払っちゃおうと思ったけど」
「婚約指輪は売ってもいいし、捨ててもいい。新しい指輪を贈る」
輝夜の指が私の左手薬指を撫でる。
結婚指輪を買ってどうするの。
形ばかりの行動で心は傾かない。でも、私の心はずっと輝夜を思ったまま冷凍付けになっている。
もう一度ふられたら、私の心は死ぬと思うのだ。
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