妊娠しません!

KUMANOMORI(くまのもり)

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嘘ばかりでも落ちていくだけ

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 輝夜は嘘をつく人じゃないし、好んで人を傷つけるような人じゃない。誠実な人だと思う。だからこそ、結婚相手と子どもを作る行動をとるのは、ある種自然なことだ。結婚相手に誠実でいようとするのならば。
 ただ、恋人でも妻でもない私に誠実である必要はない。

 呪いの言葉を耳の奥に残したまま、私は自分が信じていたものが不確かだったことを思う。
 私が父の子ではなかったように、現実は嘘ばかりなのだ。

 ※

 デジタ
 ル端末で見せてもらった資料は、DNAデータの一致や遺伝子情報の一致をパーセンテージであらわすものだった。例えば、私と母、そして煌さんとの血縁関係の証明、輝夜と輝夜のお父さん、そして私の父、春黎雅との血縁関係の証明がなされていた。
 私と三人の妹達を母が産んだのはたしかだったけれども、私が思っていた父とはまた違う人を父親にしていたのだ。

 私の生物学上の両親は、秋彌煌の兄、潮と、私の母、旧姓重用笑だ。体外受精して出生したらしい。
 一方の輝夜は、秋彌眩夜の姉、秋彌閃華と春黎雅の間で体外受精した子どもだという。
 この資料を見た私は、理解が及ばずにいた。
 母は簡潔に説明する。

「好きな相手の子どもを作り育てたい。それだけが目的だったの。でも、当時は世間からの風よけも必要だった」と。

 そう、二組の同性カップルが好きな相手の子どもを求めた結果が、私と輝夜なのだという。
 輝夜に聞いてみたいと思った。この事実を知っているのか。もし知っていたならば、どんな風に思ったのかを。
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