妊娠しません！

しょっぱなから妊活

3

「感じられるわけ、ないじゃん」
　顔を背けたら、
「契約書にサインしただろ？ここではちゃんと役目を果たせよ」
　と言うのだ。役目だと分かっている、これは恋人同士の愛の営みではない。
　私だってお金に目がらんでいるだけだ。

　すうっと心に影が落ちてくれば、私は急に多弁になる。

「こんな原始的な方法をとらなくっても、生殖医療を介入させたら、遺伝的にも輝夜の子だって証拠がある赤ちゃん作れる。体外授精だっていいはずだよ」

　私の本意じゃない。早く妊娠してしまえば、受け取れる収入が減ってしまうのだから。

　輝夜は何も言わず、私の目を見つめてきた。好きな人と結婚して、そして育む赤ちゃんを夢見て、かつて実現しかけたことを覚えている。

　輝夜が私の唇の輪郭を親指でなぞって来たので、ついうっかり気を抜きそうになって、残酷な事実を口にする。

「元奥さん。彼女でもいい、好きな人を思い浮かべて吐き出して、卵子に注入してもらえばいい。卵子提供者を探すのは、あなたなら難しくないでしょ？こんなのしなくても、私となんかしなくても……」

　輝夜は私の言葉を無視して、唇を重ねてきた。逃げようとする私の頬を両手で押さえつけて、嫌がらせみたいに何度もキスしてくる。

　舌がしつこく絡みつき、露骨なほどに快感を煽ろうと動くのだ。一目散に血流が注がれて、腿の間にぬるりと流れ落ちる生温かいものを感じて、腿を閉じたくなる。

　勝手知ったる輝夜はここぞとばかりに強引に下腹部を押しあげてきて、彼の口の中で悲鳴みたいな声が出た。

「んっ」

　そうしたら、一層強く奥の奥までを突きあげられるので、太ももからしたが全部痙攣する。