乙女ゲーヒロインにおとされるのを待ってたら、エロゲーの主人公におとされました

KUMANOMORI(くまのもり)

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初めてのイベント

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 かつて龍とユニコーンの交配を達成したので、イゾルデと名づけて、今は厩舎に繋いでいる。イゾルデはベースがユニコーンで、羽根や尾がドラゴンだ。虹色に輝く身体が美しい。

 暇なのでイゾルデに遠乗りしようと思って厩舎に行けば、ルークがいた。

「よ、最近会わなかったな」
 とオレは声をかける。
 ブラックアウトして以降、ルークと会っていなかった。

「ごめん、ラウリィ。無理やりあんなことをして」
 肩を落としながら、ルークは言う。

「いや、言うな。何をしたかは」
 オレはルークの目の前に手の平を差し出して、口止めをする。

「変換されるという仮説があったんだ。俺のしたことが、ラウリィの世界観ではたった一言で変換されていくと思った。でも互換性がなかったんだ」
「良かったじゃないか、それが分かって。実証実験は大切だ」

「そのせいで、ラウリィは倒れただろ。悪かったよ」
「問題ないよ。ところで、イゾルデに乗って遠乗りするか?ルークが乗るなら、オレはトリスタンに乗る」とオレはルークに聞く。

「正直、興味ないけど。ラウリィのルートはそういうのなんだろ?」
「そうだな」

「だったら、遠乗りするよ」
 とルークが言ったので、オレは少し嬉しくなった。

 思えば、誰かと遠乗りをするのは、初めてだ。なんたって、攻略してもらえていないんだから。

「なんか、嬉しいな」
 思わず口元がほころんでくるのを感じつつコメントしたら、ルークが驚いた顔をする。

「ラウリィのそんな顔見たの、初めてだ」
 と言うのだった。
 そんな変な顔をしている自覚はない。

 見ればルークは前髪を分けていて表情がハッキリと見えるようになっていた。
 長い睫毛で縁取られたクッキリとした目のライン、そして綺麗な双眸を持つ、美青年だ。

「乙女ゲームの攻略対象になったのか?」
 と言えば、
「違う。ラウリィのパラメータをあげると、見た目がこうなるんだ」
 と言う。
 大概意味不明だ。

「じゃあ、遠乗りしよう!親友!」
 今までで一番、気持ちが高揚していた。
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