乙女ゲーヒロインにおとされるのを待ってたら、エロゲーの主人公におとされました

KUMANOMORI(くまのもり)

文字の大きさ
上 下
12 / 27

パラメータとはなんだ?

しおりを挟む

 ルークはひどく落ち込んでいた。

「しばらくは、来るなと。ユーリィに言われた」
「え?なんで」

「俺のすすめ方では相手にならないらしい。そして、俺が行くとイベントが強制的に開始されるから、自由度がなくていやだとか」

「なるほど。そういう考えもあるんだな。オレからすれば暇すぎて暇すぎて、ルートに入ってもらえるだけで、御の字だけどな」
 とオレが言えば、ルークはこちらを見てくる。

「ラウリィのルートはどこから入れるんだ?」と奇妙なことを言ってくるのだ。ルートに入る?
「マジアカなら上級者に絡まれているミトリをオレが助ける。そこからが出会い」

「パラメータは?ラウリィ攻略に必要な能力や条件は何があるんだ?」
「え?」

 盲点だった。
 そんな観点はオレにはない。
 だって、落とされるがわなんだ。
 来てくれれば、そのときは主人公がルートに入ったときのわけで、そこまでステップをオレは知らない。

「分からないな。そんなのないんじゃないか?上手いこと会話をしていけば、ルートには入れるとか」
「ミトリなら、当然知っているんだろうな」
 とルークは言う。

「そりゃそうだろ。ミトリはオレたちのヒロインなんだし」
「聞いてくる」
 と言ってルークは立ち上がるのだった。

「なんで?」
「攻略して欲しいんだろ?暇だから」

「そうだけど。なんでお前が行く?」
「ミトリは、どこかでつまずいているのかもしれない。パラメータが足りないとか選択肢が出てこないとかで」

「なんだそれ?」
「ラウリィが協力してくれたから、俺も手伝うよ。ラウリィが攻略してもらえるように」

「うわ、いい奴。オレお前のそういうとこ好きだよ」
 と言えば、ルークは顔を赤くするのだった。

 そして、
「天然でたらし。ラウリィがブリファルの主人公やった方がいい気がする」
 と言うのだ。

「いやいや無理無理。オレは全年齢の攻略対象としての誇りがあるから」
 と言っておく。

 オレのために、ミトリに聞き込みをすると言って、ルークは去って行った。
 なんていい奴なんだろう。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

初恋はおしまい

佐治尚実
BL
高校生の朝好にとって卒業までの二年間は奇跡に満ちていた。クラスで目立たず、一人の時間を大事にする日々。そんな朝好に、クラスの頂点に君臨する修司の視線が絡んでくるのが不思議でならなかった。人気者の彼の一方的で執拗な気配に朝好の気持ちは高ぶり、ついには卒業式の日に修司を呼び止める所までいく。それも修司に無神経な言葉をぶつけられてショックを受ける。彼への思いを知った朝好は成人式で修司との再会を望んだ。 高校時代の初恋をこじらせた二人が、成人式で再会する話です。珍しく攻めがツンツンしています。 ※以前投稿した『初恋はおしまい』を大幅に加筆修正して再投稿しました。現在非公開の『初恋はおしまい』にお気に入りや♡をくださりありがとうございました!こちらを読んでいただけると幸いです。 今作は個人サイト、各投稿サイトにて掲載しています。

キサラギムツキ
BL
長い間アプローチし続け恋人同士になれたのはよかったが…………… 攻め視点から最後受け視点。 残酷な描写があります。気になる方はお気をつけください。

夢では溺愛騎士、現実ではただのクラスメイト

春音優月
BL
真面目でおとなしい性格の藤村歩夢は、武士と呼ばれているクラスメイトの大谷虎太郎に密かに片想いしている。 クラスではほとんど会話も交わさないのに、なぜか毎晩歩夢の夢に出てくる虎太郎。しかも夢の中での虎太郎は、歩夢を守る騎士で恋人だった。 夢では溺愛騎士、現実ではただのクラスメイト。夢と現実が交錯する片想いの行方は――。 2024.02.23〜02.27 イラスト:かもねさま

前世から俺の事好きだという犬系イケメンに迫られた結果

はかまる
BL
突然好きですと告白してきた年下の美形の後輩。話を聞くと前世から好きだったと話され「????」状態の平凡男子高校生がなんだかんだと丸め込まれていく話。

【完結・BL】DT騎士団員は、騎士団長様に告白したい!【騎士団員×騎士団長】

彩華
BL
とある平和な国。「ある日」を境に、この国を守る騎士団へ入団することを夢見ていたトーマは、無事にその夢を叶えた。それもこれも、あの日の初恋。騎士団長・アランに一目惚れしたため。年若いトーマの恋心は、日々募っていくばかり。自身の気持ちを、アランに伝えるべきか? そんな悶々とする騎士団員の話。 「好きだって言えるなら、言いたい。いや、でもやっぱ、言わなくても良いな……。ああ゛―!でも、アラン様が好きだって言いてぇよー!!」

黄色い水仙を君に贈る

えんがわ
BL
────────── 「ねぇ、別れよっか……俺たち……。」 「ああ、そうだな」 「っ……ばいばい……」 俺は……ただっ…… 「うわああああああああ!」 君に愛して欲しかっただけなのに……

好きなあいつの嫉妬がすごい

カムカム
BL
新しいクラスで新しい友達ができることを楽しみにしていたが、特に気になる存在がいた。それは幼馴染のランだった。 ランはいつもクールで落ち着いていて、どこか遠くを見ているような眼差しが印象的だった。レンとは対照的に、内向的で多くの人と打ち解けることが少なかった。しかし、レンだけは違った。ランはレンに対してだけ心を開き、笑顔を見せることが多かった。 教室に入ると、運命的にレンとランは隣同士の席になった。レンは心の中でガッツポーズをしながら、ランに話しかけた。 「ラン、おはよう!今年も一緒のクラスだね。」 ランは少し驚いた表情を見せたが、すぐに微笑み返した。「おはよう、レン。そうだね、今年もよろしく。」

フローブルー

とぎクロム
BL
——好きだなんて、一生、言えないままだと思ってたから…。 高二の夏。ある出来事をきっかけに、フェロモン発達障害と診断された雨笠 紺(あまがさ こん)は、自分には一生、パートナーも、子供も望めないのだと絶望するも、その後も前向きであろうと、日々を重ね、無事大学を出て、就職を果たす。ところが、そんな新社会人になった紺の前に、高校の同級生、日浦 竜慈(ひうら りゅうじ)が現れ、紺に自分の息子、青磁(せいじ)を預け(押し付け)ていく。——これは、始まり。ひとりと、ひとりの人間が、ゆっくりと、激しく、家族になっていくための…。

処理中です...