悪女で候。十回の前世で聖女はやめました、現世は聖痕を血痕で塗りかえます。

KUMANOMORI(くまのもり)

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愛娼として

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 皇帝が暗殺されたとの通達は広く大陸に響き、要塞都市ルドキアは近隣地域からの進行を受ける。

 その後、王太子には影武者がいたとの噂話が伝播し始めた。家臣や側近が血眼で探しだした王太子は南南東の森の入り口で見つかる。近隣地域との小競り合いが続く中で、王太子が皇帝の後継者として立ったことでルドキア側もようやく応戦が可能となった。

「聖女によって皇帝は殺害された」
 と誰からということもなく、話が囁かれ始めている。

 聖女の人相書きはブロンド髪に、白いローブを纏った少女だ。ストロベリーブロンドの髪を持ち、黒いローブをまとう私には関係がない。


 この頃私は王太子から呼び出しを受けている。宰務官がテントにやって来て、殿下がお呼びです、と告げに来ていた。新しい宰務官は以前補佐官をしていた男だ。

「この寂しい身の上に慰めをくれないか?」
 王太子はそう言って、寝室に招き入れるのだった。王太子の母君は既になくなっている。


 その年、私は子どもを産んだ。
 十回の前世で一度たりとも経験しなかったことだ。
 一人目の子どもは泣くたびに背中に皇帝の子どもの印を浮かびあがらせる。二年後に産んだ二人目の子どもには額に印があった。

 二人目の子どもを孤児院へと預ける。私たちを育ててくれたママ達が受け入れてくれた。

 そのうちにルートグリムで聖女があらわれたとの噂話が聞こえ始めた。
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