悪女で候。十回の前世で聖女はやめました、現世は聖痕を血痕で塗りかえます。

KUMANOMORI(くまのもり)

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悪女の手引き

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「私に何を預言させたいのです?」
「当然、聖女の場所だよ。そして生贄は本当に必要なのかな?」

「聖女の源はなんだとお思いですか?力は無尽蔵に湧いてくるものでしょうか?自然の摂理としてもエネルギー源が必要だと、それなりの学識がおありならば考えつくものだと思いますけれど」

「生贄はエネルギー源だと?」
「そう思います」
「聖女とは随分、恐ろしいものなんだね」

 思わせぶりな視線を送って来る彼の視線は、私の額に注がれている。前知識はあるのかもしれない。聖女は額に聖痕がある、と。

「雨を降らしさらに土地を肥えさせたいならば、あと数人捧げましょうか?聖女信仰を信じたいのでしたら」
 残酷な宣告であってもいい。聖女を恐ろしく、扱いにくいものとして刻んでおきたい。

「そんなものには使わなくていいよ。ルートグリムを制圧するには、どうすればいいかを問いたい」
「そのためには。誰の命を差し出すのです?あなたですか?」
 ははははっとレグノは笑う。

「差し出した後じゃなければ、教えてもらえないんだね」
 じっとこちらをうかがうレグノの瞳には、好奇心がうかがえた。

「聖女の祝福のないルートグリムは、正攻法でも攻め滅ぼせると思いますが」
「どうだろうね」
 探る目に柔らかな光が差したときに、想像通りの言葉がやって来る。

「君は本業の方でも、随分と軍部の者から支持されているようだね」
「よくご存知で。試してみますか、宰務官様?」

 私はレグノの軍服の襟装飾に触れてみる。かちゃかちゃと音をさせ、無礼者、と言わせたくてやってみるが、彼はかえって笑みを浮かべてくる。
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