29 / 49
初恋を捧ぐ
2
しおりを挟む
「私の身体で償えるとは思えないけど。私を護るために剣を振るってくれたあなたに、初めてをもらって欲しい」
するするとドレスを身体から抜き去れば、薄手の下履きのみの姿になった。
昨日既にすべて調べられた身体だったけれど、売り物だからと痕はつけられていない。
生白い胸が面映ゆかった。額の聖痕が燃えるように熱い。
「もったいない」
ゼリュードは頭をふった。
「心は純潔じゃないけど、まだこの身体は純潔だから」
私は抱擁を求めるように腕を広げる。
嫌がられるような気がしたけれど、ゼリュードは強く抱きしめてくれた。その後、ゼリュードがせわしなく革のジャケットや綿のシャツを脱ぎ捨てていくのを見て、川遊びでもするみたい、と私は呟く。
ゼリュードは恥ずかしそうに笑った。何度もキスをしながら、昔話をする。孤児院での話ばかりだけれど、これまで繰り返した十回の人生の話もあった。
ゼリュードは私の側近になるために、私の夫たちに上手く取り入るようだ。
「母から学んだ処世術が生きているんだよ」
そう言うゼリュードの目は少し暗くなる。
昔より確実に大人びてきている身体は正直だ。遊びのようにくっついているだけでも、血流が向かう先はお互いに明らかだった。
充分に充血してきたゼリュードの局部に触れたら、彼は恥ずかしそうにふるふると首を振る。透明な液が切なそうにこぼれ出ていた。口先で悪戯に口づければ、ゼリュードは悲鳴のような声をあげて、遊ぶなよ、と言う。
愛おしいと思ったし、もっと心地よくなってほしいと思った。
高級娼婦ならもっと焦らすのだろうけれど、と思いながら――――
私は足を広げる。
「真っ赤だ。ちゃんと充血していて、とても、かわいい」
ぼっと頬が熱くなった。そんな風に、自分の内部を形容されるなんて想像もしない。
するするとドレスを身体から抜き去れば、薄手の下履きのみの姿になった。
昨日既にすべて調べられた身体だったけれど、売り物だからと痕はつけられていない。
生白い胸が面映ゆかった。額の聖痕が燃えるように熱い。
「もったいない」
ゼリュードは頭をふった。
「心は純潔じゃないけど、まだこの身体は純潔だから」
私は抱擁を求めるように腕を広げる。
嫌がられるような気がしたけれど、ゼリュードは強く抱きしめてくれた。その後、ゼリュードがせわしなく革のジャケットや綿のシャツを脱ぎ捨てていくのを見て、川遊びでもするみたい、と私は呟く。
ゼリュードは恥ずかしそうに笑った。何度もキスをしながら、昔話をする。孤児院での話ばかりだけれど、これまで繰り返した十回の人生の話もあった。
ゼリュードは私の側近になるために、私の夫たちに上手く取り入るようだ。
「母から学んだ処世術が生きているんだよ」
そう言うゼリュードの目は少し暗くなる。
昔より確実に大人びてきている身体は正直だ。遊びのようにくっついているだけでも、血流が向かう先はお互いに明らかだった。
充分に充血してきたゼリュードの局部に触れたら、彼は恥ずかしそうにふるふると首を振る。透明な液が切なそうにこぼれ出ていた。口先で悪戯に口づければ、ゼリュードは悲鳴のような声をあげて、遊ぶなよ、と言う。
愛おしいと思ったし、もっと心地よくなってほしいと思った。
高級娼婦ならもっと焦らすのだろうけれど、と思いながら――――
私は足を広げる。
「真っ赤だ。ちゃんと充血していて、とても、かわいい」
ぼっと頬が熱くなった。そんな風に、自分の内部を形容されるなんて想像もしない。
0
お気に入りに追加
64
あなたにおすすめの小説
追放された偽物聖女は、辺境の村でひっそり暮らしている
黎
ファンタジー
辺境の村で人々のために薬を作って暮らすリサは“聖女”と呼ばれている。その噂を聞きつけた騎士団の数人が現れ、あらゆる疾病を治療する万能の力を持つ聖女を連れて行くべく強引な手段に出ようとする中、騎士団長が割って入る──どうせ聖女のようだと称えられているに過ぎないと。ぶっきらぼうながらも親切な騎士団長に惹かれていくリサは、しかし実は数年前に“偽物聖女”と帝都を追われたクラリッサであった。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
愛することをやめたら、怒る必要もなくなりました。今さら私を愛する振りなんて、していただかなくても大丈夫です。
石河 翠
恋愛
貴族令嬢でありながら、家族に虐げられて育ったアイビー。彼女は社交界でも人気者の恋多き侯爵エリックに望まれて、彼の妻となった。
ひとなみに愛される生活を夢見たものの、彼が欲していたのは、夫に従順で、家の中を取り仕切る女主人のみ。先妻の子どもと仲良くできない彼女をエリックは疎み、なじる。
それでもエリックを愛し、結婚生活にしがみついていたアイビーだが、彼の子どもに言われたたった一言で心が折れてしまう。ところが、愛することを止めてしまえばその生活は以前よりも穏やかで心地いいものになっていて……。
愛することをやめた途端に愛を囁くようになったヒーローと、その愛をやんわりと拒むヒロインのお話。
この作品は他サイトにも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID 179331)をお借りしております。

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが

絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。
どうも、死んだはずの悪役令嬢です。
西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。
皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。
アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。
「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」
こっそり呟いた瞬間、
《願いを聞き届けてあげるよ!》
何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。
「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」
義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。
今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで…
ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。
はたしてアシュレイは元に戻れるのか?
剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。
ざまあが書きたかった。それだけです。

悪役令嬢の涙
拓海のり
恋愛
公爵令嬢グレイスは婚約者である王太子エドマンドに卒業パーティで婚約破棄される。王子の側には、癒しの魔法を使え聖女ではないかと噂される子爵家に引き取られたメアリ―がいた。13000字の短編です。他サイトにも投稿します。
だから聖女はいなくなった
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」
レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。
彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。
だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。
キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。
※7万字程度の中編です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる