悪女で候。十回の前世で聖女はやめました、現世は聖痕を血痕で塗りかえます。

KUMANOMORI(くまのもり)

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初恋を捧ぐ

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「私の身体で償えるとは思えないけど。私を護るために剣を振るってくれたあなたに、初めてをもらって欲しい」
 するするとドレスを身体から抜き去れば、薄手の下履きのみの姿になった。
 昨日既にすべて調べられた身体だったけれど、売り物だからと痕はつけられていない。

 生白い胸が面映ゆかった。額の聖痕が燃えるように熱い。
「もったいない」
 ゼリュードは頭をふった。

「心は純潔じゃないけど、まだこの身体は純潔だから」
 私は抱擁を求めるように腕を広げる。

 嫌がられるような気がしたけれど、ゼリュードは強く抱きしめてくれた。その後、ゼリュードがせわしなく革のジャケットや綿のシャツを脱ぎ捨てていくのを見て、川遊びでもするみたい、と私は呟く。

 ゼリュードは恥ずかしそうに笑った。何度もキスをしながら、昔話をする。孤児院での話ばかりだけれど、これまで繰り返した十回の人生の話もあった。

 ゼリュードは私の側近になるために、私の夫たちに上手く取り入るようだ。
「母から学んだ処世術が生きているんだよ」
 そう言うゼリュードの目は少し暗くなる。

 昔より確実に大人びてきている身体は正直だ。遊びのようにくっついているだけでも、血流が向かう先はお互いに明らかだった。

 充分に充血してきたゼリュードの局部に触れたら、彼は恥ずかしそうにふるふると首を振る。透明な液が切なそうにこぼれ出ていた。口先で悪戯に口づければ、ゼリュードは悲鳴のような声をあげて、遊ぶなよ、と言う。

 愛おしいと思ったし、もっと心地よくなってほしいと思った。

 高級娼婦ならもっと焦らすのだろうけれど、と思いながら――――
 私は足を広げる。

「真っ赤だ。ちゃんと充血していて、とても、かわいい」

 ぼっと頬が熱くなった。そんな風に、自分の内部を形容されるなんて想像もしない。
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