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彼の手練手管
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「今度は、こっちを」
ズボンの前をくつろがせるのを見て、かなり動揺した。
ゼリュードのやや角度のついたその部分を、初めてまともに見る。色目は想像よりもグロテスクで目を逸らしたくなった。
裸で一緒に水遊びしていた頃の彼の身体とは違う。先からそろそろと落ちてくる透明な液体を目にして、私はもう一度ゼリュードの顔を見あげた。切なそうに眉根をよせている。
「いやだな、ばかみたいだ。ジェラートに触れられていると、あっさりとこんな風に」
「ゼリュードは乙女が好きだったみたいなのに、私でもこんな風になるんだね」
「なんだよ、それ」
「遊び女は、正面からじゃ抱けない。腰を突きだせ、尻をふれって」
ゼリュートは顔を真っ赤にした。寝所での言葉をまともに受けるなよ、と言う。
「聖女の印を見るのが辛かったんだ。以前の婚姻が思い出されるから」
ゼリュードはそう言って、私の額の印を指でなぞった。
「ジェラートの中に入るたびに、腰を揺らすたびに誰かの影が浮かんでた。王や将軍に抱かれているのを知っているから。どんな風に声をあげてるのか。裸の背中にかかった髪が揺れるだけで、誰かの影が見える気がして。たまらなく、焼きもちを焼いていたんだ」
ゼリュートが述懐するのを聞くにつれて、取り返しがつかないことを知る。嫉妬心はどうしようもない。私の手では取り払うことは出来ないと思うから。
ズボンの前をくつろがせるのを見て、かなり動揺した。
ゼリュードのやや角度のついたその部分を、初めてまともに見る。色目は想像よりもグロテスクで目を逸らしたくなった。
裸で一緒に水遊びしていた頃の彼の身体とは違う。先からそろそろと落ちてくる透明な液体を目にして、私はもう一度ゼリュードの顔を見あげた。切なそうに眉根をよせている。
「いやだな、ばかみたいだ。ジェラートに触れられていると、あっさりとこんな風に」
「ゼリュードは乙女が好きだったみたいなのに、私でもこんな風になるんだね」
「なんだよ、それ」
「遊び女は、正面からじゃ抱けない。腰を突きだせ、尻をふれって」
ゼリュートは顔を真っ赤にした。寝所での言葉をまともに受けるなよ、と言う。
「聖女の印を見るのが辛かったんだ。以前の婚姻が思い出されるから」
ゼリュードはそう言って、私の額の印を指でなぞった。
「ジェラートの中に入るたびに、腰を揺らすたびに誰かの影が浮かんでた。王や将軍に抱かれているのを知っているから。どんな風に声をあげてるのか。裸の背中にかかった髪が揺れるだけで、誰かの影が見える気がして。たまらなく、焼きもちを焼いていたんだ」
ゼリュートが述懐するのを聞くにつれて、取り返しがつかないことを知る。嫉妬心はどうしようもない。私の手では取り払うことは出来ないと思うから。
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