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彼の手練手管
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「両頬に手を当てて」
といいながら、ゼリュードは私の左右の手を掴んで誘導した。
耳朶を舐め、少しだけ吸ったら、
「あ……っ」
とゼリュードが声をあげる。
そのまま首筋に舌を這わせていきながら、時折吸いあげた。いいよ、上手。と子どもを褒めるみたいにゼリュードは言って、頭を撫でてくる。褒められるのが奇妙な喜びになって、私はゼリュードの首から胸にかけて、吸ったり舐めたりしていく。
彼の腹部に鳥肌が立つのを見て、
「いや?」と聞いたら、「違う、逆だよ」焦りをにじませた声で言った。
「オレは孤児院に行かなければ、男娼館に売られるはずだったんだ」
「初めて聞いた」
「リリアナの息子ならば、と引き受け先はあったようだ。そのとき、色んな技は学んできている」
下から彼の顔を見あげる。私の剣士になると言い続けてくれた幼なじみ。どの人生でもそばにいてくれた。結ばれることを、夢見ていたけれど。結ばれた先にあったのは、愛の交換じゃなく、ただの情交だった。
今はこんなに柔らかな瞳をしているのに、なんであんな暗い目で私を抱いていたの?
といいながら、ゼリュードは私の左右の手を掴んで誘導した。
耳朶を舐め、少しだけ吸ったら、
「あ……っ」
とゼリュードが声をあげる。
そのまま首筋に舌を這わせていきながら、時折吸いあげた。いいよ、上手。と子どもを褒めるみたいにゼリュードは言って、頭を撫でてくる。褒められるのが奇妙な喜びになって、私はゼリュードの首から胸にかけて、吸ったり舐めたりしていく。
彼の腹部に鳥肌が立つのを見て、
「いや?」と聞いたら、「違う、逆だよ」焦りをにじませた声で言った。
「オレは孤児院に行かなければ、男娼館に売られるはずだったんだ」
「初めて聞いた」
「リリアナの息子ならば、と引き受け先はあったようだ。そのとき、色んな技は学んできている」
下から彼の顔を見あげる。私の剣士になると言い続けてくれた幼なじみ。どの人生でもそばにいてくれた。結ばれることを、夢見ていたけれど。結ばれた先にあったのは、愛の交換じゃなく、ただの情交だった。
今はこんなに柔らかな瞳をしているのに、なんであんな暗い目で私を抱いていたの?
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