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十一回目の宣言

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 18歳の成人を迎える前夜に私は断髪した。成人の祝福の儀式で、聖女として聖痕が現れてしまったことで、前十回の人生で聖女としての歩みがはじまってしまった。私は魔力を宿すとされる髪を切る。
 そして、儀式が終わったらすぐに孤児院を出ると決めていた。
 聖女がいると聞きつけた神官が迎えに来たことにより、私は神殿付きの聖女にさせられたと記憶しているからだ。

 友人のキャロンに断髪を手伝ってもらい、染色の葉を手配してもらった。
 ブロンドヘアをワインレッドに染める。

「本当にいいの?綺麗なブロンドなのに」
 と言いつつも、キャロンは手伝ってくれた。短くなった髪に染めの葉で色を入れ込んでいく。

「ウィッグを作って販売するのはどう?ブロンドヘアを好む方はいらっしゃる様子だし。さらに魔力がこもっているとうたえば、高値で売れるかもしれない」
 と私は言う。髪の束をキャロンに渡す。
「なるほど、いいアイデアかも」

「いくらでも伸びてくるもの。身銭が手に入れば、身を立てられるかもしれない」
 院内の共用スペースで髪染めをしていたら、ゼリュードに見つかってしまった。
「ジェラート?」

 ゼリュードが慌てた様子で声をかけてきた。私の姿を見て、驚きの声をあげる。あ、と私は声をあげて、そっぽを向く。

 ゼリュードは同じ孤児院で育った、仲のいい幼なじみだ。さらに言えば、私の初恋の相手であり前世では夫だった。

 ただ前世の婚姻で私は彼の本音を知っていたので、現世ではもう、彼に近づこうとは思わない。
 あんな風に優しさの欠片もない人だとは、知らなかった。


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