ちょうどいい私は、無理めの宮久土先輩のくるぶしをかじりたい

遠くで見守る

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　高校の頃の一件からソーシャルメディアとは距離を取っていたけれど、宮久土先輩のニュースを収集するためにアカウントを持っている。
　実生活で関係のある家族や友達が私に情報を流してくれるのだった。
　
　宮久土先輩は長距離に転向してから日本記録を更新し、そして大学卒業後にあっさり引退したようだ。

　その姿はあらゆるメディアで見ることができなくなる。
　宮久土先輩と仲が良かった航先輩いわく、スマートフォンに連絡を入れても不通だと言うのだ。

　活躍を目にすれば安心できていたけれど、不安が煽られる。

「うらさぁ、馳とはどうなってたんだっけ？最近アイツ連絡とれないんだけど」と久しぶりに家に帰って来た兄が聞いてきた。

　どうなっていたのか――――。

　それは私と宮久土先輩しか知らない。