ちょうどいい私は、無理めの宮久土先輩のくるぶしをかじりたい

偏愛彼氏たち

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　相変わらず私は右目に難を抱えていたけれど、おおむね他の人と同じ生活は出来ている。

　大学に進学したら、何かサークルに入ろうと思っていたところで、学内で見覚えのある人から声がかかった。大学には航先輩が二個上の先輩として在籍していたのだ。

　航先輩は空き家活用プロジェクト会社を友達と一緒に起業しているようで、サークル活動の一環としてプロモーション用の動画制作や配信をしているらしい。

　仮想アイドルのプロデュースなどの実験的な動画も作っているようだ。仮想アイドル？と不意に頭に思いうかんだのは、希久だった。
　希久はあの後、あっさりと引退してしまっている。

　特別気になるサークルがなかったので、航先輩のサークルに入って、動画編集の手伝いをするようになる。

　自然と二人で過ごす時間が増えた。
　空き時間に共用スペースで作業をしたり、ランチをしたりする。

　航先輩は相変わらずノリが軽くて、一緒に歩けば声が男女問わず色々な人から声がかかっていた。

　変わらないなぁ、と少しだけ当時より見えにくくなった目で眺めているのだ。
　高校の頃を変わらない。
　ただ、当時はそこにもう一人いたけれど。