ちょうどいい私は、無理めの宮久土先輩のくるぶしをかじりたい

KUMANOMORI(くまのもり)

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フツーな私を取りまくもの

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 ただのいたずらだと私は思っていたけれど、媒体を変えて拡散された写真は完全には拾い切れないようだった。
「意図的に広めようとしているね」
 と航先輩は言うのだ。

「心当たりはある?」
 と私と宮久土先輩に尋ねてくるけれど、私には心当たりはない。

 宮久土先輩は不意に何かを思ったようで、
「きっと意地悪な人か、嘘つきな人だね」
 と言う。

 嘘つきな人と一乃のことを言っていたことがある。
「意地悪な人、嘘つきな人ですか?」
「ひょっとしたら両方かもしれない」

「両方?私の写真なんて投稿しても意味ないと思いますけど。こんなぼやけた写真だし」

 自分のアカウントを持っていたSNSなので、自分のスマートフォンで投稿を確認する。私の言葉に宮久土先輩は、こちらをじっと見つめた後で航先輩に尋ねるのだ。

「知らないみたいだけど、つや先輩もひょうも何も言ってないのかな」
「言ってないんじゃない?その辺はガッチリ隠しているし」

「何の話ですか?」
「つや先輩も、ひょうも不定期にモデルしてるよね?SNSとか雑誌とかにときどき出てくる妹の存在にざわめいていたんだよね」

「え。お姉ちゃんとお兄ちゃん、モデルしてるんですか?」

 別の角度からの私の問いかけに、二人の表情が固まるのを見た。人ってこんな風に固まることがあるんだな、と思う。
 けれど、それ以上に、私は姉と兄の知らない一面に驚くのだ。
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